国家資格建築・技術

一級建築士の難易度・合格率・勉強時間

全ての構造・規模・用途の建築物の設計・工事監理ができ、免許登録には合格後に所定の実務経験が要ります。

最終更新: 2026-09-21

一級建築士の基本情報

正式名称一級建築士
分類国家資格
実施団体公益財団法人 建築技術教育普及センター(中央指定試験機関)。免許を与えるのは国土交通大臣で、登録事務は公益社団法人 日本建築士会連合会(指定登録機関)
試験形式学科の試験(四肢択一式・5科目計125問/計6時間30分)と設計製図の試験(あらかじめ公表される課題の設計図書を6時間30分で作成)の2段階
受験資格建築士法第14条により、大学・高等専門学校等で指定科目を修めて卒業した者/二級建築士(免許登録済みの方)/国土交通大臣が同等以上の知識・技能を有すると認める者(建築設備士を含む)。実務経験は受験ではなく免許登録の要件
試験日程年1回(学科の試験は7月下旬、設計製図の試験は10月中旬)
受験料17,000円(非課税)。別途、事務手続手数料としてクレジットカード決済281円・コンビニエンスストア決済225円。免許登録には登録免許税60,000円と申請手数料28,400円が別に必要
合格率令和7年 総合11.4%。内訳は学科16.5%(実受験者27,489人・合格者4,529人)・設計製図35.0%(実受験者11,381人・合格者3,988人)。令和8年の学科は26.2%(実受験者29,094人・合格者7,619人)
難易度★★★★★
独立のしやすさ★★★★★
勉強時間目安建築技術教育普及センターは学習時間の目安を公表していません。学科5科目125問の知識に加えて設計製図で6時間30分の作図をこなす必要があり、7月と10月の2段階に分けた計画が要ります
申込方法年1回。令和8年試験はインターネット受付で2026年4月1日〜4月14日に受け付け(令和9年の日程は未公表)
公式サイト試験の公式ページを見る

申込・試験日程

回次申込受付期間試験日
令和8年試験2026年4月1日(水) 〜 2026年4月14日(火)受付は4月1日午前10時から4月14日午後4時まで。受験手数料の支払期限は4月15日午後11時55分、受験資格を証明する書類の提出期限は4月17日(当日消印有効・簡易書留)学科の試験 2026年7月26日(日)/設計製図の試験 2026年10月11日(日)合格発表: 学科の試験 2026年9月2日(水)に発表済み(合格者の受験番号は10月1日まで掲載)/設計製図の試験 2026年12月23日(水)予定

日程は変更される場合があります。申し込みの際は必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

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一級建築士とはどんな資格?

一級建築士は、建築士法にもとづく国家資格で、全ての構造・規模・用途の建築物について設計・工事監理を行うことができる、建築士の最上位の区分です。試験は国土交通大臣の指定する中央指定試験機関である建築技術教育普及センターが実施し、合格後に国土交通大臣の免許を受けて一級建築士になります。二級建築士・木造建築士の免許が都道府県知事から交付されるのに対し、一級建築士だけが大臣免許です。

建築士法第3条は、一級建築士でなければ設計・工事監理をしてはならない建築物を次のように定めています。この表に当てはまる建築物は、二級建築士では扱えません。

区分 一級建築士でなければできない規模
学校・病院・劇場・映画館・観覧場・公会堂・集会場・百貨店 延べ面積が500㎡を超えるもの
木造 高さが16mを超えるもの、または地階を除く階数が4以上のもの
鉄筋コンクリート造・鉄骨造・石造・れんが造・コンクリートブロック造・無筋コンクリート造 延べ面積が300㎡を超えるもの、高さが16mを超えるもの、または地階を除く階数が4以上のもの
構造を問わない 延べ面積が1,000㎡を超え、かつ階数が2以上のもの

延べ面積500㎡を超える学校・病院・百貨店のような不特定多数が使う建物、延べ面積300㎡を超える鉄筋コンクリート造や鉄骨造、高さ16m超または4階以上の木造は一級建築士の専管です。建築士でない者が建築士の名称を使うことも、二級建築士が一級建築士を名乗ることも禁じられています(名称独占・建築士法第34条)。

一級建築士の中には、構造設計一級建築士設備設計一級建築士という区分もあります。日本建築士会連合会の登録状況(令和7年4月1日現在)では、一級建築士の登録者が383,923名、構造設計一級建築士が10,410名、設備設計一級建築士が6,140名です。

働く場は、建設会社、建築士事務所、住宅メーカー、官公庁などです。令和8年の学科合格者7,619人を職域別に見ると、建設業が37.4%、建築士事務所が26.7%、住宅メーカーが13.0%、官公庁等が6.0%、学生・研究生が5.5%でした。職務内容別では建築設計が36.7%、施工管理・現場管理が22.6%で、設計職だけでなく施工側から受ける方も多い試験です。

難易度と合格率

令和7年試験の合格率は、学科16.5%、設計製図35.0%、総合11.4%でした。建築技術教育普及センターが公表している直近5年の推移は次のとおりです。

学科 実受験者数 学科 合格者数 学科 合格率 設計製図 実受験者数 設計製図 合格者数 設計製図 合格率 総合 合格率
令和3年 31,696人 4,832人 15.2% 10,499人 3,765人 35.9% 9.9%
令和4年 30,007人 6,289人 21.0% 10,509人 3,473人 33.0% 9.9%
令和5年 28,118人 4,562人 16.2% 10,238人 3,401人 33.2% 9.9%
令和6年 28,067人 6,531人 23.3% 11,306人 3,010人 26.6% 8.8%
令和7年 27,489人 4,529人 16.5% 11,381人 3,988人 35.0% 11.4%

学科の合格率は年によって15.2%から23.3%の間で動き、設計製図は26.6%から35.9%の間です。センターが「総合合格率」として公表している値は、直近5年とも8.8%から11.4%の範囲にとどまります。設計製図の実受験者数には、その年に学科を通った方に加えて前年以前の学科合格による免除者が加わるので、学科合格者数より製図の受験者数のほうが多くなっています。

令和8年の学科の試験の結果は2026年9月2日に発表されました。実受験者数29,094人に対して合格者は7,619人で、合格率は26.2%と、直近5年でもっとも高かった令和6年の23.3%を上回りました。設計製図の試験は2026年10月11日に行われるため、令和8年の総合合格率は12月23日の発表を待つことになります。

あわせて公表された学科の合格基準点は、学科Ⅰ(計画)11点、学科Ⅱ(環境・設備)11点、学科Ⅲ(法規)16点、学科Ⅳ(構造)16点、学科Ⅴ(施工)13点、総得点94点(125点満点)でした。各科目と総得点の基準点すべてに達している方が合格です。国土交通省の公表資料には、各科目は過半の得点、総得点は概ね90点程度を基本的な水準として想定していたが、総じて難度が低かったことからこの基準点にしたと書かれています。基準点は毎年固定ではなく、その年の難易度に応じて動く点は押さえておきたいところです。

学科の試験は四肢択一式で、学科Ⅰ(計画)20問・学科Ⅱ(環境・設備)20問を計2時間、学科Ⅲ(法規)30問を1時間45分、学科Ⅳ(構造)30問・学科Ⅴ(施工)25問を計2時間45分で解きます。合計125問・6時間30分の長丁場です。学科Ⅰ・Ⅱを欠席した方は学科Ⅲ以降を受験できません。二級建築士の学科が五肢択一・4科目100問なのに対し、一級は四肢択一で科目と問題数が増えます。

設計製図の試験は、あらかじめ公表される課題について設計図書を作成する6時間30分の試験です。令和8年の課題は7月24日に公表された「ホテル」で、令和7年は「庁舎」、令和6年は「大学」でした。令和8年の要求図書は1階平面図・配置図、各階平面図、断面図(いずれも縮尺1/200)、面積表、計画の要点等です。採点結果はランクⅠからⅣの4段階に区分され、ランクⅠだけが合格です。令和7年はランクⅠが35.0%、ランクⅡが1.6%、ランクⅢが53.7%、ランクⅣが9.7%で、半数以上が「知識及び技能」が著しく不足していると区分されるランクⅢでした。センターは、ランクⅢ・Ⅳに該当するものが多かったとして、設計条件に関する基礎的な不適合(要求室・施設等の特記事項の不適合、高さ制限への適合が確認できる情報の未記載など)と、法令への重大な不適合(直通階段に至る重複区間の長さなど)を例に挙げています。

勉強時間の目安

建築技術教育普及センターは学習時間の目安を公表していません。公表値がないため、当サイトでも推測の数字は示しません。

代わりに、試験の構造から必要な準備を整理しておきます。学科の試験は5科目125問で、法令の適用は試験の年の1月1日時点で施行されているものが基準になります。学科Ⅲ(法規)では法令集の持ち込みが認められており、試験前に法令集チェックの時間が設けられています。設計製図の試験は課題公表から試験日までの約2か月半が実質的な準備期間で、6時間30分以内に要求図書一式と計画の要点をまとめる速度と精度を仕上げる期間です。知識の暗記とは別枠で手を動かす時間が要ります。

計画に影響するのが学科免除です。令和2年以降の学科の試験に合格した方は、引き続いて行われる4回の建築士試験のうち2回(学科合格年の設計製図の試験を欠席する場合は3回)について、申請により学科の試験が免除されます。1年目に学科を通しておけば、翌年以降は設計製図に集中できる仕組みです。免除の回数を使い切ると学科からやり直しになります。

受験資格と試験日程

受験資格は建築士法第14条に3つの区分が定められています。

  • 指定科目を修めて卒業した者: 大学・高等専門学校等で、国土交通大臣の指定する建築に関する科目を修めて卒業した場合です。平成21年度以降に入学した方は指定科目の単位数、平成20年度以前に入学した方は「所定の課程を修めて卒業」という当時の要件で判定されます
  • 二級建築士: 二級建築士の免許を登録していることが条件です。二級建築士試験に合格しただけでは該当しません
  • 国土交通大臣が同等以上の知識・技能を有すると認める者: 建築設備士や、外国の大学の卒業者などが該当します

令和2年3月施行の建築士法改正により、それまで受験の要件だった実務経験は免許登録の要件に移りました。試験は実務経験0年で受けられますが、登録時には学歴・資格に応じた年数が必要です。受験要領の表では、大学等で指定科目を60単位修めた場合は卒業後2年以上、50単位なら3年以上、40単位なら4年以上、二級建築士または建築設備士を受験資格とした場合はその資格の取得後4年以上と定められています。試験に合格してもすぐ免許が取れるとは限らない点にご注意ください。

令和8年の学科合格者を学歴・資格別に見ると、大学が69.7%、二級建築士(二級建築士の資格のみで受験した者)が11.5%、専修学校が6.7%、建築設備士が1.2%、短大・高専等のその他が10.9%でした。合格者の平均年齢は29.8歳で、24〜26歳が30.2%ともっとも多く、23歳以下が19.4%と続きます。

試験は年1回です。令和8年試験の日程は次のとおりでした。

  • 受験申し込み: 2026年4月1日(水)10時〜4月14日(火)16時。インターネットによる受付
  • 受験手数料の支払期限: 2026年4月15日(水)23時55分
  • 受験資格を証明する書類の提出期限: 2026年4月17日(金)当日消印有効(簡易書留。二級建築士・建築設備士で申し込む場合は電子ファイルのアップロードで郵送不要)
  • 学科の試験: 2026年7月26日(日)/合格者は9月2日(水)に発表済み(受験番号の掲載は10月1日まで)
  • 設計製図の試験: 2026年10月11日(日)/合格者の発表は12月23日(水)予定

令和8年の受験申し込みはすでに終了しています。令和9年試験の日程は本記事の更新時点で未公表のため、公表され次第この欄を更新します。受験手数料は17,000円(非課税)で、別途、事務手続手数料としてクレジットカード決済なら281円、コンビニエンスストア決済なら225円がかかります。合否の判定結果(不合格者には成績も)はマイページで通知され、通知書のダウンロード期限は令和9年2月末日です。設計製図の試験の合格通知書は免許登録に必要なので、期限までに保存しておく必要があります。

免許登録は、日本建築士会連合会(指定登録機関)が登録事務を行い、申請は住所地の都道府県建築士会またはオンライン申請で受け付けます。費用は登録免許税60,000円と申請手数料28,400円で、申請から免許証明書の交付まで通常3か月程度かかります。登録後、建築士事務所に所属する建築士は3年に一度の定期講習の受講が義務づけられており、受講手数料はオンライン方式で12,000円(紙製テキストと電子テキスト)または11,300円(電子テキストのみ)、対面方式で12,980円(いずれも税込)です。

独立して働くなら

一級建築士は、独立して設計事務所を開くことができる資格です。他人の求めに応じて報酬を得て設計・工事監理等を業として行うには、一級建築士事務所を定めて都道府県知事の登録を受ける必要があります。登録の有効期間は5年です。二級建築士と違って扱える建築物に規模の上限がないため、住宅から集合住宅、商業施設、公共建築まで事務所として受けられる案件の幅が広がります。

ここで要件になるのが管理建築士です。建築士事務所の開設者は、事務所ごとに専任の管理建築士を置かなければなりません。管理建築士になれるのは、建築士として3年以上の設計業務等に従事したうえで、登録講習機関が行う管理建築士講習の課程を修了した建築士です。つまり、免許を取ってすぐ自分の事務所を構えられるわけではなく、免許取得後に3年以上の実務と講習を挟む設計になっています。

管理建築士講習の受講資格は、原則として建築士事務所に所属する建築士として3年以上、次の業務に従事した方とされています。設計、工事監理、建築工事契約に関する事務、建築工事の指導監督、建築物に関する調査または鑑定、建築に関する法令・条例にもとづく手続の代理の6つです。建築物の施工管理(施工図の作成や安全管理等)は受講資格の対象業務として認められないと明記されており、施工側でキャリアを積んできた方は注意が必要です。講習の受講手数料は16,500円(税込)です。

仕事の内容は、住宅・店舗・事務所ビル・集合住宅などの設計と工事監理、確認申請の手続き、他の設計事務所や建設会社からの外注業務などです。集客の現実としては、勤めていた事務所や建設会社からの紹介、不動産会社・工務店との継続的な取引、設計コンペやプロポーザルへの参加が入り口になります。大きな案件ほど受注までの期間が長く、実績と人脈が問われるため、開業前に一級建築士事務所で実務経験と人脈を作っておくことが、そのまま独立後の受注につながる分野です。

こんな人におすすめ

  • 建築系の大学・高専で指定科目を修めて卒業し、卒業後すぐに受験して登録までに実務経験を積む計画の方
  • 二級建築士の免許を登録しており、扱える建築物の規模を広げたい方
  • 建設会社や住宅メーカーで施工管理や設計に携わっており、鉄筋コンクリート造や大規模建築の設計・工事監理に踏み出したい方
  • 将来、自分の一級建築士事務所を開くことを目標にしている方

同じ団体が実施する二級建築士は、木造の戸建て住宅や小規模な建築物を扱える資格で、一級建築士の受験資格にもなります。施工側の国家資格としては2級建築施工管理技士2級土木施工管理技士が現場で隣り合います。内装の提案に関わるならインテリアコーディネーターも選択肢になります。

出典・参考情報

受験料・日程等は変更される場合があります。受験の際は必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

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