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弁理士の難易度・合格率・勉強時間

特許・意匠・商標などの特許庁への出願手続の代理は弁理士の独占業務で、短答式と論文式の必須科目は合格から2年間免除されます。

最終更新: 2026-09-11

弁理士の基本情報

正式名称弁理士
分類国家資格
実施団体工業所有権審議会(特許庁)
試験形式短答式筆記試験(五枝択一・60題・3.5時間)、論文式筆記試験(必須3科目と選択1科目)、口述試験(3科目・各10分程度)の3段階。前の段階に合格しないと次の段階を受験できません
受験資格制限なし(学歴・年齢・国籍による制限は一切ありません)
試験日程年1回。短答式は5月、論文式は6月から7月、口述は10月で、最終合格発表は11月
受験料特許印紙12,000円(収入印紙では受験できません)。合格後は実務修習の受講料118,000円、登録免許税60,000円、登録料35,800円、登録月の会費15,000円が別に必要です
合格率令和7年度 6.4%(受験者3,183人・合格者205人)。特許庁が公表する合格率は最終合格の数値で、分母は受験者数です
難易度★★★★★
独立のしやすさ★★★★
勉強時間目安特許庁は学習時間の目安を公表していません。令和7年度の合格者の平均受験回数は2.9回で、合格者の93.2%が試験の一部免除を受けた受験者でした
申込方法年1回。令和8年度の受験願書受付は2026年3月5日〜4月2日で終了。令和9年度の日程は例年1月中旬の官報公告で公表されます
公式サイト試験の公式ページを見る

申込・試験日程

回次申込受付期間試験日
令和8年度試験2026年3月5日(木) 〜 2026年4月2日(木)受付は終了しました。受験願書は郵送(簡易書留推奨)で提出し、特許庁への持参は受け付けられません。4月2日の消印有効。願書そのものは事前に請求して入手する必要があり、インターネット請求は2月2日〜3月19日、郵送請求は3月2日〜3月19日でした短答式 2026年5月17日(日)/論文式 必須科目6月28日(日)・選択科目7月26日(日)/口述 10月17日(土)〜19日(月)のいずれか1日合格発表: 短答式 2026年6月8日(月)(予定)/論文式 9月18日(金)(予定)/最終合格 11月9日(月)(予定)。短答式の合格者一覧のPDFは6月9日付です

日程は変更される場合があります。申し込みの際は必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

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弁理士とはどんな資格?

弁理士は、弁理士法にもとづく国家資格です。他人の求めに応じ、特許・実用新案・意匠・商標などに関する特許庁への手続の代理や、これらに関する鑑定を行うことを業とします(弁理士法第4条)。この特許庁への手続の代理は、弁理士または弁理士法人でない者が報酬を得て業として行うことができない独占業務です(同法第75条)。

弁理士になるには、弁理士試験に合格したうえで実務修習を修了し、日本弁理士会の弁理士登録簿に登録を受ける必要があります(同法第7条・第17条)。試験は特許庁に置かれる工業所有権審議会が実施し、事務は特許庁総務部秘書課弁理士室が担当しています。なお、弁護士となる資格を有する方と、特許庁で審判官または審査官として審判・審査の事務に通算7年以上従事した方は、試験を受けずに実務修習を経て弁理士となる資格を得られます。

特許の出願は発明の技術内容を理解したうえで書面に落とし込む仕事のため、令和7年度の合格者の8割以上が理工系の出身者です。一方で商標や意匠の分野では法文系の出身者も活動しており、令和7年度の合格者205人のうち27人(13.2%)が法文系でした。

難易度と合格率

特許庁が公表する合格率は、短答式・論文式・口述の3段階をすべて通過した最終合格の数値で、分母は受験者数です。直近3年度の推移は次のとおりです。

年度 志願者数 受験者数 合格者数 合格率 合格者の平均受験回数
令和5年度 3,417人 3,065人 188人 6.1% 2.8回
令和6年度 3,502人 3,160人 191人 6.0% 2.4回
令和7年度 3,501人 3,183人 205人 6.4% 2.9回

3年続けて6%台で推移しています。志願者のうち実際に受験した割合(受験率)は令和7年度で90.9%でした。

この試験を理解するうえで押さえたいのが、合格者の大半が免除制度を使った受験者だという点です。令和7年度の合格者205人のうち、特許庁の結果資料で「非免除者」とされているのは14人(6.8%)にとどまり、残る191人(93.2%)は何らかの試験の免除を受けた受験者でした(資料は免除の種類までは区分していません)。合格者の平均受験回数は2.9回です。短答式と論文式必須科目の合格は2年間持ち越せる仕組みなので、複数年をかけて段階ごとに通過していく進め方が制度として想定されている試験です。

段階別に見ると、令和8年度の短答式筆記試験は受験者2,786人に対して合格者459人でした(いずれも特許庁の統計資料の値。前年度の令和7年度は受験者2,775人・合格者355人)。特許庁の「試験の結果について」に載っている合格率は最終合格の数値だけなので、当サイトが受験者数と合格者数から算出すると、短答式の通過率は令和8年度16.5%・令和7年度12.8%です。短答式で6〜8人に1人まで絞られ、その先に論文式・口述が続きます(最終合格率6%台の分母である受験者数には、短答式の免除を受けて論文式から受ける方も含まれます)。

令和7年度の合格者の内訳も公表されています。年齢別では30代が89人(43.4%)でもっとも多く、20代71人(34.6%)、40代29人(14.1%)と続きます。職業別では会社員が101人(49.3%)、特許事務所勤務が61人(29.8%)で、この2つで合格者の約8割を占めます。出身系統別では理工系が168人(82.0%)でした。

3段階の試験内容と免除制度

弁理士試験は短答式筆記試験、論文式筆記試験、口述試験の順に行われ、前の段階に合格した方でなければ次の段階を受験できません。

段階 科目・出題数 試験時間 合格基準
短答式筆記試験 特許・実用新案20題、意匠10題、商標10題、条約10題、著作権法及び不正競争防止法10題の全60題(五枝択一・マークシート) 3.5時間 総合得点の満点に対して65%を基準として審議会が相当と認めた得点以上。ただし科目別に満点の40%を下回る科目が1つもないこと
論文式筆記試験(必須科目) 特許・実用新案、意匠、商標の3科目 特許・実用新案2時間、意匠1.5時間、商標1.5時間 標準偏差で調整した各科目の得点の平均が54点を基準として審議会が相当と認めた得点以上。ただし47点未満の科目が1つもないこと
論文式筆記試験(選択科目) 理工Ⅰ(機械・応用力学)・理工Ⅱ(数学・物理)・理工Ⅲ(化学)・理工Ⅳ(生物)・理工Ⅴ(情報)・法律(民法)の6科目から、願書提出時に1つを選択 1.5時間 科目の得点(素点)が満点の60%以上
口述試験 特許・実用新案、意匠、商標の3科目(面接方式で試験室を順に移動) 各科目10分程度 A・B・Cのゾーン方式で、C評価が2つ以上ないこと

短答式では、五枝のいずれにも該当しない場合に選ぶ「ゼロ解答」の選択肢は設けないと明記されています。論文式の必須科目は、3科目のうち1科目でも受験しないと3科目すべての採点が行われません。論文式の必須科目と選択科目は片方だけの受験もできますが、両方に合格しないと口述試験には進めません。選択科目は願書提出時に選び、その後の変更はできません。

免除制度は、この試験を複数年で攻略する前提になっています。

  • 短答式に合格した方は、合格発表の日から2年間、短答式が免除されます
  • 論文式の必須科目に合格した方は、合格発表の日から2年間、必須科目が免除されます
  • 論文式の選択科目に合格した方は、以後永久に選択科目が免除されます(平成20年度以降の合格者から適用)
  • 修士・博士・専門職学位にもとづく選択科目免除の認定を受けた方も、永久に選択科目が免除されます
  • 特許庁が指定する他の公的資格を持つ方も、選択科目が永久に免除されます。令和8年度の公告に挙げられているのは、技術士、一級建築士、第一種・第二種電気主任技術者、薬剤師、電気通信主任技術者、情報処理安全確保支援士、経済産業大臣が認める情報処理技術者試験の合格者、司法試験合格者、司法書士、行政書士です

いずれの免除も、受験願書の提出時に免除申請を行い、証明書類を添付する必要があります。申請しなければ免除対象者でも受験することになります。

短答式の免除は「合格発表の日から2年間」なので、たとえば令和8年度に短答式に合格した方は、令和9年度と令和10年度の2回、論文式から受験できます。この2回の間に論文式・口述まで通過する計画を立てるのが、一般的な進め方です。

令和9年度からの選択科目の見直し

特許庁は「令和9年度から弁理士試験制度が変わります」というリーフレットで、論文式筆記試験(選択科目)の選択問題を見直すと公表しています。現在15ある選択問題を、令和9年度から9に再編する内容です。

科目 現行の選択問題 措置 令和9年度以降の選択問題
理工Ⅰ(機械・応用力学) 材料力学 存置 材料力学
理工Ⅰ(機械・応用力学) 流体力学 廃止 (なし)
理工Ⅰ(機械・応用力学) 熱力学 存置 熱力学
理工Ⅰ(機械・応用力学) 土質工学 廃止 (なし)
理工Ⅱ(数学・物理) 基礎物理学 存置 基礎物理学
理工Ⅱ(数学・物理) 電磁気学 存置 電磁気学
理工Ⅱ(数学・物理) 回路理論 廃止 (なし)
理工Ⅲ(化学) 物理化学・有機化学・無機化学 統合 一般化学(物理化学・有機化学・無機化学)
理工Ⅳ(生物) 生物学一般 存置 生物学一般
理工Ⅳ(生物) 生物化学 存置 生物化学
理工Ⅴ(情報) 情報理論・計算機工学 統合 情報基礎(情報理論・計算機工学・通信工学)
法律 民法 存置 民法

理工Ⅴの「情報基礎」は、リーフレットの注記で「現行の『情報理論』及び『計算機工学』に加え、『通信工学』を包含する形で統合します」と説明されています。

見直しの理由として特許庁は、現行の選択科目で「受験者が5人に満たない選択問題が散見」され、受験者が少ない選択問題は問題作成へのフィードバックが乏しく、選択問題間の難易度の公平性を担保することが難しくなっていると説明しています。統合により試験範囲が広がって難易度が上がるのかという問いには、見直しの対象となった選択問題については基礎的な内容を中心にすることで難易度を調整する考えだと答えています。なお、修士・博士等の学位にもとづく選択科目免除の対象分野は、この改正によって変更されないとしています。

流体力学・土質工学・回路理論を選ぶ予定だった方は、令和9年度以降はその選択問題がなくなるため、別の選択問題を検討するか、他の公的資格や学位による免除を使うことになります。詳細はリーフレットの原文で確認してください。

勉強時間の目安

特許庁は学習時間の目安を公表していません。当サイトでも、公式の裏づけのない時間数は掲載しない方針です。

代わりに手がかりになるのが、公表されている受験回数のデータです。令和7年度の合格者の平均受験回数は2.9回で、令和5年度2.8回・令和6年度2.4回と、いずれも複数回の受験を経て合格に至っています。

学習の順序は試験の構造に沿って考えるのが基本です。短答式は特許・実用新案・意匠・商標の法令と条約、著作権法・不正競争防止法まで範囲が広く、まずここを通過しないと先へ進めません。論文式の必須科目は短答式と同じ工業所有権法令の範囲から出題されるため、短答式の学習で得た条文の知識が土台になります。選択科目は理工系の方なら自分の専門分野を選ぶか、学位や他資格による免除を使えるかを最初に確認しておくと、必須科目に集中しやすくなります。

受験資格と試験日程

受験資格の制限はなく、学歴・年齢・国籍による制限は一切ありません。受験手数料は特許印紙12,000円で、受験願書の所定の箇所に貼付します。収入印紙では受験できない点に注意が必要です。

試験は年1回で、具体的な期日は毎年1月中旬頃に官報で公告されます。令和8年度の日程は次のとおりです。

手続・試験 期日
受験願書の請求(インターネット) 2026年2月2日(月)9時〜3月19日(木)23時59分
受験願書の請求(郵送) 2026年3月2日(月)〜3月19日(木)(消印有効)
受験願書の交付(特許庁・日本弁理士会・各経済産業局の知的財産室) 2026年3月2日(月)〜3月31日(火)
受験願書の受付 2026年3月5日(木)〜4月2日(木)(消印有効)
短答式筆記試験 2026年5月17日(日)
短答式合格発表 2026年6月8日(月)(予定)。合格者一覧のPDFは6月9日付
論文式筆記試験(必須科目) 2026年6月28日(日)
論文式筆記試験(選択科目) 2026年7月26日(日)
論文式合格発表 2026年9月18日(金)(予定)
口述試験 2026年10月17日(土)〜19日(月)のいずれか1日
最終合格発表 2026年11月9日(月)(予定)

受験願書は工業所有権審議会が交付するものを使う必要があり、願書を入手する手続と、願書を提出する手続が別になっています。インターネットで請求できるのは願書の入手までで、提出は郵送のみです。特許庁へ直接持参された願書は受け付けられません。願書の請求期間は提出の受付期間より早く終わるため、請求を忘れると提出期間内でも受験できなくなります。

短答式の合格発表は公告では6月8日(月)が予定日とされていましたが、特許庁が掲載した合格者一覧のPDFは令和8年6月9日付です。

試験地は、短答式が東京・大阪・仙台・名古屋・福岡の5か所、論文式が東京・大阪の2か所、口述が東京のみです。令和8年度の短答式合格者459人の受験地別の内訳は、東京287人・大阪111人・名古屋38人・福岡19人・仙台4人でした。

令和8年度の受験願書受付は終了しています。令和9年度の日程は、例年どおりであれば2027年1月中旬頃に官報と特許庁のサイトで公告されます。

合格後にかかる費用

弁理士試験に合格しただけでは弁理士になれません。実務修習を修了し、日本弁理士会に登録して初めて弁理士として活動できます。ここまでにかかる費用は次のとおりです。

費目 金額 備考
受験手数料 12,000円 特許印紙
実務修習の受講料 118,000円(非課税) 令和7年度の実績。日本弁理士会が唯一の指定修習機関
登録免許税 60,000円 税務署または取扱金融機関に納付
登録料 35,800円 登録申請時に納付
登録月の会費 15,000円 登録申請時に納付

受験手数料を除いた合格後の費用だけで228,800円になります。実務修習は令和7年度の場合、11月の最終合格発表の直後に受講申請の受付期間が11月12日〜19日の1週間しかなく、12月から翌年3月末までの約4か月にわたってe-ラーニングとオンラインの集合研修で行われました。日本弁理士会は「合格発表から受講申請書の受付締切まで非常に時間が限られています」と注意を促しています。

登録後は毎月会費が発生し、毎月末日が納付期限です(日本弁理士会の会則第35条)。企業に勤務する弁理士でも会費は必要なので、資格を維持する費用として見込んでおく必要があります。令和8年度の実務修習の案内は、2026年9月11日時点で日本弁理士会の実務修習ページに掲載されていません。

独立して働くなら

弁理士は、特許庁への出願手続の代理という独占業務を持ち、登録すれば自分の特許事務所を開くことができる独立開業型の資格です。仕事の中心は、企業や研究者から依頼を受けて特許・意匠・商標の出願書類を作成し、特許庁の審査に対応することです。このほか、特許・商標などの権利の売買やライセンス契約の代理・相談、外国の官庁への出願手続に関する資料の作成、発明や商標の保護に関する相談なども業務に含まれます(弁理士法第4条第3項)。

ただし、合格してすぐに独立する形は一般的ではありません。令和7年度の合格者の職業別内訳を見ると、会社員が49.3%、特許事務所勤務が29.8%で、多くの合格者はすでに企業の知財部門か特許事務所で働いています。特許明細書の作成は技術分野ごとの書き方の慣行を身につける必要があり、特許事務所で数年の実務を経てから独立するのが現実的な道です。

集客の面では、特許事務所の依頼主は企業が中心で、個人からの依頼は商標登録など一部に限られます。企業の知財部門との継続的な取引が事業の土台になるため、勤務時代に担当した技術分野と顧客との関係が、独立後の仕事の範囲を決めます。理工系の専門分野をどこに持つかが、他の弁理士との差になります。

こんな人におすすめ

  • 理工系の専門知識を法律の資格に結びつけて仕事にしたい方
  • 企業の知財部門や特許事務所で働いていて、出願手続を自分の名前で代理できるようになりたい方
  • 2〜3年の計画で、段階ごとに免除制度を使いながら難関資格に挑戦したい方
  • 商標や意匠の分野で、法文系の知識を土台に知的財産の専門家を目指す方

法律系の難関資格という点では司法書士と並びますが、弁理士は技術と法律の両方を扱う点が特徴です。行政書士と司法書士は、弁理士試験の論文式選択科目が免除される公的資格に含まれています。

出典・参考情報

受験料・日程等は変更される場合があります。受験の際は必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

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