製菓衛生師の難易度・合格率・勉強時間
食品衛生法で定める営業者が置くことになっている食品衛生責任者に、講習会を受けずになることができます。
最終更新: 2026-08-20
製菓衛生師の基本情報
| 正式名称 | 製菓衛生師 |
|---|---|
| 分類 | 国家資格 |
| 実施団体 | 各都道府県(製菓衛生師法に基づき都道府県知事が実施。関西広域連合のように複数府県が共同で実施する地域もあります) |
| 試験形式 | 四肢択一の筆記試験。東京都の令和8年度は衛生法規・公衆衛生学・食品学・食品衛生学・栄養学・製菓理論及び実技の6科目、計60問で、製菓実技は和菓子・洋菓子・製パンの3分野から試験当日に1分野を選んで解答します |
| 受験資格 | 都道府県知事の指定する製菓衛生師養成施設で1年以上学ぶか、中学校卒業以上の学歴があり2年以上菓子製造業に従事していること |
| 試験日程 | 都道府県ごとに年1回程度。令和8年度は東京都が6月20日、関西広域連合が7月12日、静岡県が7月17日、千葉県が10月7日と、実施日が大きく分かれます |
| 受験料 | 9,500円(令和8年度・東京都の場合)。千葉県は9,400円で、都道府県により異なります |
| 合格率(都道府県別) | 都道府県ごとに実施されるため、全国を合計した合格率は厚生労働省の製菓衛生師のページには掲載されていません。令和8年度の東京都は60.8%(受験者962人・合格者585人)、令和7年度の静岡県は74.9%(受験者303人・合格者227人)、令和7年度の長野県は61.5%(受験者91人・合格者56人)でした |
| 難易度 | ★★☆☆☆ |
| 独立のしやすさ | ★★★☆☆ |
| 勉強時間目安 | 公式の目安は公表されていません。出題は6科目・全60問で、都道府県のサイトで過去の試験問題と正答が公開されているため、範囲を絞った対策が立てやすい試験です |
| 申込方法 | 都道府県ごとに実施。願書の配布・受付の時期も都道府県で異なるため、受験する都道府県のページでご確認ください |
| 公式サイト | 試験の公式ページを見る |
申込・試験日程
| 回次 | 申込受付期間 | 試験日 |
|---|---|---|
| 令和8年度 東京都 | 願書の配布・受付は令和8年4月1日〜4月30日(当日消印有効)で、受験手数料の納付期間も同じ期間です | 2026年6月20日(土)11時〜13時/会場は東京大学駒場キャンパス合格発表: 2026年8月3日(月) |
| 令和8年度 関西広域連合 | 令和8年度の願書受付は終了しています。滋賀・京都・福知山・大阪・神戸・姫路・奈良・和歌山・田辺・徳島の10会場で実施されました | 2026年7月12日(日)13時30分〜15時30分 |
| 令和8年度 静岡県 | 願書の配布は令和8年4月13日から、受付は5月11日〜5月15日でした | 2026年7月17日(金)合格発表: 2026年8月27日(木)正午 |
| 令和8年度 千葉県 | 申込はインターネット(ちば電子申請サービス)のみで、受付は令和8年7月27日9時〜8月10日17時、受験手数料の納付期限は8月17日17時でした | 2026年10月7日(水)14時〜16時合格発表: 2026年11月6日(金)10時 |
日程は変更される場合があります。申し込みの際は必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
製菓衛生師とはどんな資格?
製菓衛生師は、都道府県知事の免許を受けて、製菓衛生師の名称を用いて菓子製造業に従事するための国家資格です。根拠となるのは製菓衛生師法(昭和41年法律第115号)で、厚生労働省はこの資格を名称独占資格と説明しています。菓子やパンを作る仕事そのものに免許が要るわけではなく、「製菓衛生師」と名乗れる人を定めることで、菓子製造に携わる人の資質を高めることが目的とされています。
試験は厚生労働大臣が定める基準に基づいて各都道府県が実施します。そのため試験日・受験手数料・願書の受付時期は都道府県ごとに違い、関西広域連合のように複数府県が共同で実施している地域もあります。免許を出すのも都道府県知事で、試験に合格しただけでは製菓衛生師にはならず、別途、免許の申請が必要です。
食品衛生の面でも位置づけがあります。東京都の「食品衛生の窓」は、食品衛生責任者について「次の資格を持っている方は、講習会を受けなくても食品衛生責任者になることができます」として、調理師などと並べて製菓衛生師を挙げています。食品衛生法第51条第1項に規定する営業を行う者は食品衛生責任者を定めることとされているため、この免許はお店に必ず1人は必要な役割を、講習を受けずに担えることを意味します。
難易度と合格率
都道府県ごとに実施されるため、全国を合計した合格率は厚生労働省の製菓衛生師のページには掲載されていません。公表されているのは、各都道府県が出している実施結果です。
| 都道府県・年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 東京都 令和8年度 | 962人 | 585人 | 60.8% |
| 静岡県 令和7年度 | 303人 | 227人 | 74.9% |
| 長野県 令和7年度 | 91人 | 56人 | 61.5% |
東京都は出願者990人に対して受験者が962人で、合格率は出願者ではなく受験者を分母にした値が公表されています(585÷962)。都道府県によって10ポイント以上の開きがあるため、1つの数字を全国の代表値として読まないほうが安全です。
合格基準も都道府県が公表しています。長野県は令和7年度について「総得点が満点の6割(36点)以上で、0点の科目がないこと」と示し、千葉県は「6科目の合計点数が36点以上」(科目免除者は5科目23点以上)としています。東京都は国の通知に基づき試験委員会で合格点を決めるとしたうえで、「原則として、全科目の合計点が満点の6割以上であるものを合格とし、1科目でも得点が当該科目の平均点を著しく下回る場合は、不合格とする」と説明しています。6割を取れば合格という絶対評価が基本で、上位何%だけが受かる相対評価ではありません。
勉強時間の目安
公式に示された勉強時間の目安はありません。ただし出題範囲は6科目・全60問と定まっており、東京都・静岡県・千葉県などが過去3年分の試験問題と正答を公開しています。範囲が広がりにくい試験なので、過去問題を解いて出題の傾向をつかむ進め方が取りやすいといえます。
養成施設で1年以上学んで受験する方は、授業の内容がそのまま試験範囲に重なります。一方、実務経験で受験する方は、衛生法規・公衆衛生学・栄養学のように日々の製造では触れない科目に時間を割く必要があります。
受験資格と試験日程
受験資格は、厚生労働省が示す次のいずれかです。
- 都道府県知事の指定する製菓衛生師養成施設において1年以上、製菓衛生師として必要な知識・技能を修得した方
- 中学校卒業以上の学歴があり、2年以上菓子製造業に従事した方
2つ目の実務ルートは、細かい条件に注意が必要です。東京都は「菓子を製造する営業で食品衛生法第55条第1項の許可を受けて営むもの」に従事した経験と定めており、レストラン・カフェ・ホテルなど「飲食店営業」の許可だけを取っている施設でパンやケーキを作っていた期間は、職歴として認められないと明記しています。パート・アルバイトも、週4日以上かつ1日実働6時間以上でなければ認められません。接客や食器洗浄が中心で製造工程に携わっていない場合も同様です。自分の勤務先がどの営業許可で営まれているかは、出願前に確認しておくと安全です。
日程は都道府県でまったく異なります。令和8年度の例では、東京都が6月20日(土)、関西広域連合が7月12日(日)、静岡県が7月17日(金)、千葉県が10月7日(水)でした。願書の受付はいずれも試験の2〜3か月前に終わっており、東京都は4月1日〜4月30日、静岡県は5月11日〜5月15日と受付期間がわずか1週間の県もあります。申込方法も、東京都は紙の願書を郵送、千葉県はインターネット申請のみと分かれています。受験を考えている都道府県のページを、年度が替わる春先から見ておくとよいでしょう。
なお東京都では、菓子製造に係る1級・2級またはパン製造に係る特級・1級・2級の技能検定に合格していると「製菓理論及び実技」の科目免除を申請できます。免除の可否や手続きは都道府県で異なるため、該当する方は出願前に問い合わせてください。
調理師とどう違う?
- 調理師: 飲食店などでの調理業務の専門家。受験には調理業務の実務経験2年以上が必要
- 製菓衛生師: 菓子・パンの製造に携わる人の資格。養成施設ルートなら実務経験なしで受験できる
どちらも都道府県が実施する国家資格で、講習会を受けずに食品衛生責任者になれる点も共通しています。試験科目も公衆衛生学・食品学・食品衛生学・栄養学が重なるため、どちらかを持っている方はもう一方の学習の負担が軽くなります。違いは中心となる科目で、調理師は調理理論と食文化概論、製菓衛生師は製菓理論及び実技が出題されます。
独立して働くなら
製菓衛生師の免許は、菓子店・パン店を自分で開くときに効いてくる資格です。菓子製造業の営業許可を取って店を構える場合、食品衛生責任者を置く必要がありますが、この免許があれば講習会を受けずにその役割を担えます。開業準備で受講の日程を押さえる手間が1つ減ることになります。
実際の仕事は、焼き菓子や生菓子の製造・販売のほか、卸売、カフェの併設、通信販売、教室の運営など幅があります。免許そのものは製造の技術を保証するものではないため、独立の実力は修業先での経験と商品づくりで決まるという点は押さえておきたいところです。
集客について: 実店舗は立地の影響が大きく、住宅街なら日常使いの焼き菓子、駅前なら手土産や贈答といったように、商圏に合わせた品揃えが要になります。近年は、卸やイベント出店、オンラインショップを組み合わせて売り先を分散させる形も一般的です。SNSでの写真発信と相性がよい商材でもあるため、開業前から作り手としての発信を続けておくと、開店時の立ち上がりが変わってきます。
こんな人におすすめ
- 製菓・製パンの専門学校に通っていて、在学中に国家資格を1つ取っておきたい方
- 菓子製造の現場で2年以上働いていて、知識の面を体系的に整理したい方
- 将来、自分の菓子店・パン店を開くことを考えている方
同じく都道府県が実施し、食品衛生責任者の要件も満たせる資格としては、飲食店側の調理師があります。両方を視野に入れると、食に関わる働き方の選択肢が広がります。
出典・参考情報
- 厚生労働省「製菓衛生師」(2026-08-20 確認)
- 東京都保健医療局「令和8年度東京都製菓衛生師試験の実施について」(2026-08-20 確認)
- 東京都保健医療局「東京都製菓衛生師試験合格発表」(2026-08-20 確認)
- 静岡県「製菓衛生師試験」(2026-08-20 確認)
- 長野県「令和7年度製菓衛生師試験の合格者の発表」(2026-08-20 確認)
- 千葉県「令和8年度千葉県製菓衛生師試験について」(2026-08-20 確認)
- 東京都保健医療局「食品衛生の窓 食品衛生責任者」(2026-08-20 確認)
受験料・日程等は変更される場合があります。受験の際は必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。