食品衛生責任者の講習内容・受講料・受講方法
飲食店をはじめ営業許可・届出の対象となる施設は、この資格を持つ人を施設ごとに置くことが食品衛生法で定められています。
最終更新: 2026-08-27
食品衛生責任者の基本情報
| 正式名称 | 食品衛生責任者 |
|---|---|
| 分類 | 公的資格 |
| 実施団体 | 各都道府県知事等が指定する講習実施機関(多くは各都道府県・市の食品衛生協会) |
| 試験形式 | 合否を判定する試験ではなく、養成講習会を受講して修了証の交付を受ける制度です。科目は東京都・茨城県とも食品衛生学2時間30分・食品衛生法3時間・公衆衛生学30分の合計6時間で、あわせて確認のためのテストがあります |
| 受験資格 | 経験・学歴は問われません。年齢の条件は実施する協会ごとに異なり、東京都食品衛生協会は17歳以上(高校生は受講できません)、茨城県食品衛生協会のeラーニングは15歳以上(義務教育を修了)で高校生は授業の一環として受講する場合に限るとしています |
| 試験日程 | 各都道府県・市の食品衛生協会が随時開催しています。会場に集まる集合型のほか、eラーニング型は24時間いつでも受講でき、ログインIDの登録日から30日以内に約6時間の講義を視聴します |
| 受験料 | 12,000円(東京都・茨城県の場合。いずれもテキスト代・教材費を含みます)。金額は実施する協会ごとに定められています |
| 資格の取り方 | 合否を判定する試験ではなく、6時間の養成講習会を修了すると資格が得られる仕組みのため、合格率は公表されていません。茨城県食品衛生協会は、途中退席した場合は修了証書を交付しないと案内しています |
| 難易度 | ★☆☆☆☆ |
| 独立のしやすさ | ★★☆☆☆ |
| 勉強時間目安 | 事前の学習は求められていません。会場集合型は9時台から16時台までの1日で終わります。eラーニング型は受講可能期間が30日間で、茨城県食品衛生協会は期間内であれば複数回に分けて受講できるとしています |
| 申込方法 | 各都道府県・市の食品衛生協会に申し込みます。申込先は、食品を扱う施設に勤務している方は勤務先の所在地、勤務していない方は自宅の所在地を管轄する協会です |
| 公式サイト | 試験の公式ページを見る |
食品衛生責任者とはどんな資格?
食品衛生責任者は、飲食店や食品の製造・販売を行う施設で、現場の衛生管理に責任を負う立場の人を定める制度です。試験に合格して取る資格ではなく、6時間の養成講習会を受講して修了証の交付を受けると資格が得られます。
制度の始まりは古く、茨城県の説明によれば、昭和43年に発生したカネミ油症事件など食品による大規模な健康被害を契機に営業者の法的責任が問われるようになり、昭和47年の食品衛生法の大改正で、営業者が守るべき衛生上の基準(管理運営基準)を都道府県知事が定められるようになりました。この管理運営基準の中で食品衛生責任者の設置や職務が規定され、制度が発足しています。
その後、平成30年の食品衛生法改正に伴う関係法令の改正によって、管理運営基準は食品衛生法施行規則の別表第17に規定されることになり、食品衛生責任者の設置義務もここに定められています。都道府県ごとの基準だったものが、国の省令にまとめられた形です。
設置が義務づけられている場所
日本食品衛生協会は、食品を取り扱う施設では施設ごとに食品衛生責任者を置くことが義務付けられているとし、その根拠として食品衛生法第51条を挙げています。東京都食品衛生協会も、食品営業許可施設および食品営業届出施設の営業者は食品衛生責任者を選任することが食品衛生法で定められていると案内しており、茨城県も、営業許可および届出営業を行う営業者に設置義務があるとしています。
厚生労働省は、HACCPに沿った衛生管理の制度化に合わせて営業許可が必要な業種を見直し、あわせて営業許可業種以外の事業者の届出制度を創設しました。この見直しによって、許可が要る業種と届出で足りる業種に整理されています。飲食店だけでなく、食品を扱う幅広い施設が対象になります。
ただし、すべての施設が食品衛生責任者を置くわけではありません。東京都食品衛生協会は、許可を要する業種のうち特に衛生上の考慮を必要とする食品または添加物(全粉乳、加糖粉乳、調製粉乳、食肉製品、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、放射線照射食品、食用油脂、マーガリン、ショートニング、規格が定められた添加物)の製造・加工を行う業種については、その施設ごとに食品衛生責任者ではなく食品衛生管理者を置かなければならないとしています。こちらは食品衛生法第48条に基づく別の職で、医師・歯科医師・薬剤師・獣医師などの資格や、養成施設の課程修了が要件です。
なお、置くのは施設ごとです。複数の店舗を持つ場合、店舗の数だけ資格を持つ人が必要になります。
資格を得る方法
食品衛生責任者になる道は2つあります。
1つは養成講習会を受講することです。 各都道府県知事等の指定を受けた機関が開催しており、実際には各都道府県・市の食品衛生協会が実施しています。受講に経験や学歴は問われません。
ただし年齢の条件は協会ごとに違います。東京都食品衛生協会は17歳以上を条件とし、高校生は受講できないとしています。一方、茨城県食品衛生協会のeラーニングは「年齢15歳以上(義務教育を修了)で日本語が理解できること。ただし、高校生は授業の一環として受講する場合に限る。」としています。同じ資格でも、申し込む協会によって受けられる年齢が変わる点に注意してください。
もう1つは、すでに一定の資格を持っていることです。 次の資格を持つ方は、講習会を受けずに食品衛生責任者になれます(東京都・茨城県の案内による)。
| 区分 | 該当する資格 |
|---|---|
| 食品関係の資格 | 栄養士、管理栄養士、調理師、製菓衛生師、食鳥処理衛生管理者、船舶料理士、と畜場法に規定する衛生管理責任者または作業衛生責任者 |
| 資格要件を満たす者 | 食品衛生管理者または食品衛生監視員となることができる資格を有する者(医師、歯科医師、薬剤師、獣医師など) |
調理師や製菓衛生師をすでに持っている方は、講習会の受講も受講料も不要です。東京都食品衛生協会では、こうした方に対して資格を証明する「確認証」という手帳を交付しています。手帳がなくても免許等で資格の証明はできますが、保健所に出向くたびに免許を持参する手間を省けるという位置づけで案内されています。ただし同協会は、確認証の交付自体が東京都独自のもので、他の道府県においては通用しない事があると注意を添えています。
講習会の内容と受講料
講習の科目と時間は、東京都・茨城県とも次のとおりです。科目の合計は6時間で、これに確認のためのテストが加わります。
| 科目 | 時間 |
|---|---|
| 食品衛生学 | 2時間30分 |
| 食品衛生法 | 3時間 |
| 公衆衛生学 | 30分 |
| 確認のためのテスト | 東京都は6時間に含むと記載/茨城県は時間数を示していません |
テストの扱いは協会で書き方が分かれます。東京都食品衛生協会は講習時間を「午前9:45~午後4:30までの6時間(テスト含む)」とし、テストが6時間に含まれると明記しています。一方、茨城県はカリキュラム表に「確認試験」の行を設けていますが、時間数の欄は「-」と記されているだけで、6時間に含まれるかどうかは示されていません。
1日の拘束時間は、東京都が9時45分から16時30分(昼休み45分を含む)、茨城県が9時から16時20分です。茨城県は休憩時間の内訳を公表していないため、科目の6時間より長い時間を見ておく必要があります。茨城県食品衛生協会は途中退席すると修了証書は交付されないと明記しているため、いずれにしても丸1日空けておく必要があります。
受講料は2026年8月時点で東京都・茨城県とも12,000円ですが、内訳の書き方は異なります。
| 実施協会 | 受講料 | 内訳・支払方法 |
|---|---|---|
| 東京都食品衛生協会(集合型) | 12,000円 | 受講料10,000円(非課税)+教材費等2,000円(消費税182円を含む)。受講日当日に現金で支払い |
| 東京都食品衛生協会(eラーニング型) | 12,000円(税込) | 教材費を含む。申込時にクレジットまたはコンビニで事前支払い |
| 茨城県食品衛生協会(集合型) | 12,000円(消費税10%込み) | テキスト代を含む。当日会場で現金により徴収 |
受講料は協会ごとに定められるため、この2県の金額がそのまま全国に当てはまるわけではありません。 申し込む協会のページで確認してください。
eラーニングでも受けられます
会場に行かずに受講する方法もあります。日本食品衛生協会は、各都道府県市の食品衛生協会がeラーニング講座も提供していると案内しており、申込の概要は協会ごとに異なるとしています。
東京都食品衛生協会のeラーニング型は、標準学習時間が合計約6時間、受講可能期間は新規ログインID・パスワードの登録日から30日間です。24時間いつでも受講できます。修了証は受講基準を満たした方に10営業日以内にレターパックで郵送されます。申込時に顔認証による本人確認を行うため、申込にはカメラ付きのスマートフォンまたはタブレットが必要です。
茨城県食品衛生協会のeラーニングも標準学習時間は合計約6時間、受講可能期間は登録日から30日間で、こちらは受講期間内であれば複数回に分けて受講できると明記しています。受講料は12,000円(税込)です。
ただし、どの協会にでも申し込めるわけではありません。日本食品衛生協会は申込先の目安として、食品を扱う施設に勤務中の方は勤務先施設の所在地を管轄する協会、勤務していない方は自身の自宅住所を管轄する協会としています。東京都食品衛生協会のeラーニングも、受講要件を都内の食品関連施設に勤務している方、または食品関連施設に勤務していない都内在住者に限っています。
資格の有効期限と、他の都道府県での扱い
東京都食品衛生協会はQ&Aで、食品衛生責任者の資格には「現時点では有効期限は定めておりません」と回答しており、更新のために再受講する必要はありません。
他の都道府県で取った資格が使えるかどうかは、取得時期で扱いが分かれます。同じQ&Aによれば、平成9年4月1日以降に資格を取得した方は全国で通用します。一方、平成9年3月31日以前に道府県で取得した資格については「原則として通用しますが、一部の道府県での取得では通用しないことがあります」とされ、その理由として一部の道府県では6時間という受講時間数を満たしていないことが挙げられています。古い時期に取った方は、取得した道府県の食品衛生協会か保健所への確認が必要です。
なお、修了証を紛失した場合の再交付は、受講した協会で申請する決まりです。東京都食品衛生協会は、道府県で取得された方は取得した道府県で再交付申請をするよう案内しています。
資格を取ったあとの役割
茨城県は、食品衛生責任者の遵守事項として次を挙げています。
- 都道府県知事等が行う講習会または認める講習会を定期的に受講し、食品衛生に関する新たな知見の習得に努めること
- 営業者の指示に従い、衛生管理に当たること
- 施設の衛生的な管理や公衆衛生上必要な措置(衛生管理計画の作成と周知徹底、衛生管理の実施状況の記録などを含む)の遵守のために必要な注意を行い、営業者に対し必要な意見を述べるよう努めること
あわせて営業者側にも、食品衛生責任者の意見を尊重することが求められています。責任者が意見を述べ、営業者がそれを尊重するという役割分担で、施設の衛生管理を成り立たせる構造です。
1つ目の「定期的に受講」に対応するのが実務講習です。茨城県食品衛生協会は、すでに食品衛生責任者に選任されている方を対象とした実務講習をeラーニングで提供しており、標準学習時間は合計約2時間です。資格を取るための養成講習とは別のものなので、申し込むときに取り違えないよう注意してください。
勉強時間の目安
事前の学習は求められていません。6時間の講習を受け切ることが、そのまま取得の条件です。
会場集合型なら1日で完結します。eラーニング型は登録日から30日間という期限があるため、細切れに視聴する場合はこの期限内に終える計画が必要です。茨城県食品衛生協会は養成講習のeラーニングについて、受講可能期間を過ぎても延長はせず、もう一度受講するには受講料の再支払いが必要で、それまでの受講履歴も引き継げないとしています。
受講の申込と日程
全国一律の申込期間や実施日はありません。 各都道府県・市の食品衛生協会がそれぞれ日程を組んで随時開催しています。当サイトの申込受付中の資格でも、この資格は「実施機関ごとに日程が異なる資格」として扱っています。
申込方法も協会によって異なります。東京都食品衛生協会の集合型は、ホームページから申込書をダウンロードし、返信用封筒(切手貼付)と同封して郵送する方式です。茨城県食品衛生協会は電話での申し込みを受け付けておらず、各会場は申込受付順に定員となり次第締め切られます。
急ぐ場合の選択肢としては、eラーニングがあります。茨城県食品衛生協会は、eラーニングなら受講料の支払い後すぐに受講できるようになると案内しています。
独立して働くなら
飲食店を開くとき、この資格は原則として必要になります。茨城県食品衛生協会は、食品営業許可の新規申請をするためには食品衛生責任者の資格も必要で、申請手続きの際には資格を証明する書類も要ると明記しています。そのうえで、営業施設に資格を持つ人がいない場合は、原則として申請手続きを行う前に養成講習会を受講する必要があるとしています。開業準備の順番として、講習の受講が営業許可の申請より前に来るわけです。
一方で、この資格だけで店が開けるわけではないことも押さえておく必要があります。営業許可には施設の基準を満たすことが別途求められ、業種によっては許可ではなく届出になります。食品衛生責任者は、開業に必要な要素のうちの1つという位置づけです。
費用と時間の面では、2026年8月時点で受講料12,000円、会場集合型なら1日で完結し、有効期限もありません。ただし会場の定員と日程の制約があるため、物件を決めてから受講先を探すと、講習の空きが取れずに開業が後ろへずれることがあります。開業を考え始めた段階で受けておくと、この待ち時間を切り離せます。
すでに調理師や製菓衛生師を持っている場合は、この講習そのものが不要です。飲食店の開業を見据えて調理師を取る方にとっては、食品衛生責任者の要件が同時に満たされることになります。
こんな人におすすめ
- 飲食店や食品を扱う店の開業を考えている方。営業許可の申請より前に必要になるため、準備の早い段階で受けておける資格です
- 飲食業の店舗で責任者を任される立場になる方。施設ごとに置くことになるため、店舗展開や人の入れ替わりのたびに有資格者が求められます
- 食品を扱う仕事に初めて関わる方。経験・学歴が問われず、会場集合型なら1日で受け切れます
- 食品衛生の基礎を体系的に知っておきたい方。食品衛生学・食品衛生法・公衆衛生学の3科目が、実務で必要な範囲にしぼって扱われます
一方、調理師・製菓衛生師・栄養士・管理栄養士などをすでにお持ちの方は、講習を受けなくても食品衛生責任者になれます。受講の前に、自分が受講免除の対象でないかを確認してください。
出典・参考情報
- 公益社団法人日本食品衛生協会「食品衛生にかかわる資格」(2026-08-27 確認)
- 公益社団法人日本食品衛生協会「食品衛生責任者養成講習会 eラーニングのご案内」(2026-08-27 確認)
- 一般社団法人東京都食品衛生協会「食品衛生責任者養成講習会(会場集合型)」(2026-08-27 確認)
- 一般社団法人東京都食品衛生協会「食品衛生責任者養成講習会(eラーニング型)」(2026-08-27 確認)
- 一般社団法人東京都食品衛生協会「食品衛生責任者養成講習会 Q&A」(2026-08-27 確認)
- 茨城県「食品衛生責任者について」(2026-08-27 確認)
- 公益社団法人茨城県食品衛生協会「食品衛生責任者養成講習会(集合型)」(2026-08-27 確認)
- 公益社団法人茨城県食品衛生協会「食品衛生責任者【養成】講習(eラーニング)」(2026-08-27 確認)
- 公益社団法人茨城県食品衛生協会「食品衛生責任者【実務】講習(eラーニング)」(2026-08-27 確認)
- 厚生労働省「営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報」(2026-08-27 確認)
受験料・日程等は変更される場合があります。受験の際は必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。