公的資格建築・技術

建設業経理士の難易度・合格率・勉強時間

1級・2級の合格者は、公共工事の入札に関わる経営事項審査で「公認会計士等の数」として数えられます。

最終更新: 2026-08-13

建設業経理士の基本情報

正式名称建設業経理検定(建設業経理士・建設業経理事務士)
分類公的資格
実施団体一般財団法人 建設業振興基金
試験形式会場で受ける筆記試験。1級は原価計算・財務諸表・財務分析の3科目に分かれ、科目ごとに受験します(各90分)。2級と3級は各120分、4級は90分
受験資格どなたでも希望の級・科目から受験できます。ただし1級の科目と他の級を同じ日に受けることはできません。同日受験ができるのは1級の複数科目、2級と3級、3級と4級の組み合わせのみです
試験日程年2回(上期9月・下期3月)。1級・2級は上期と下期の年2回、3級・4級は下期のみの年1回実施です
受験料1級は1科目8,120円・2科目同時11,420円・3科目同時14,720円、2級7,120円、3級5,820円、4級4,720円。2級・3級の同日受験は12,620円、3級・4級は10,220円(いずれも税込・ネット申込手数料320円を含む)
合格率第38回(令和8年3月8日実施)は1級財務諸表30.1%・1級財務分析28.7%・1級原価計算22.5%・2級47.5%。3級・4級は同日実施の第44回で3級66.8%・4級69.8%
難易度★★★☆☆
独立のしやすさ☆☆☆☆(この資格単独での独立開業は一般的ではありません)
勉強時間目安建設業振興基金は標準的な学習時間を公表していません。試験時間は1級が科目ごとに90分、2級・3級が120分、4級が90分です。1級は3科目それぞれに合格する必要があり、科目合格の有効期限が5年間であるため、学習期間の見積もりが他の級とは異なります
申込方法年2回。令和8年度下期(1〜4級)の受験申込は令和8年11月10日〜12月10日。上期(1級・2級)の申込は5月12日〜6月11日で終了しています
公式サイト試験の公式ページを見る

申込・試験日程

回次申込受付期間試験日
令和8年度 下期(第40回 建設業経理士検定試験/第45回 建設業経理事務士検定試験)2026年11月10日(火) 〜 2026年12月10日(木)1級から4級までのすべての級を実施します。3級・4級を受けられるのはこの下期だけです2027年3月14日(日)合格発表: 2027年5月14日(金)
令和8年度 上期(第39回 建設業経理士検定試験)2026年5月12日(火) 〜 2026年6月11日(木)上期の申込受付は終了しています。上期に実施するのは1級・2級のみです2026年9月13日(日)合格発表: 2026年11月13日(金)

日程は変更される場合があります。申し込みの際は必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

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建設業経理士とはどんな資格?

建設業経理検定は、建設業の会計に関する知識と処理能力を測る検定試験です。一般財団法人建設業振興基金が実施しており、級によって資格の名前と法的な位置づけが変わります

資格の名称 位置づけ
1級・2級 建設業経理士 建設業法施行規則第18条の3に基づく「登録経理試験」
3級・4級 建設業経理事務士 建設業振興基金が独自に実施する検定試験

同じ検定名の中で、1級・2級だけが法令に根拠を持つ登録経理試験にあたります。この違いが、後述する経営事項審査での扱いにそのままつながります。

建設業の会計は、工事ごとに原価を集計し、工期をまたいで収益と費用を対応させる点に特徴があります。そのため簿記の一般的な知識だけでは足りず、建設業向けの勘定科目や原価計算を扱う検定が別に用意されています。

1級・2級が経営事項審査で数えられる

公共工事の入札に参加しようとする建設業者は、経営事項審査(建設業法第27条の23)を受けなければなりません。建設業振興基金は、この審査のうち「公認会計士等の数」で1級・2級建設業経理士を、「監査の受審状況」で1級建設業経理士を評価していると説明しています。

「公認会計士等の数」では、社内に雇用している有資格者の人数から次の数値を計算します。

公認会計士等数値=(経審で評価される1級合格者の人数×1)+(経審で評価される2級合格者の人数×0.4)

つまり1級1人は2級2.5人分に相当する計算です。社内の有資格者の人数が、そのまま審査の点数に反映される仕組みになっています

ただし、合格すればいつまでも数えられるわけではありません。経審で評価されるのは、次のいずれかにあてはまる合格者です。

  • 合格した日の属する年度の翌年度の開始の日から起算して5年を経過しないもの
  • 登録経理講習(建設業経理士CPD講習)の受講者で、受講した日の属する年度の翌年度の開始の日から起算して5年を経過しないもの
  • 建設業振興基金が実施した登録講習会の受講者で、受講した日の属する年度の翌年度の開始の日から起算して5年を経過しないもの

合格から一定期間が過ぎると、講習を受け直さないかぎり経審の人数に数えられなくなります。合格して終わりではなく、受講を続けて維持する設計になっている点は、他の簿記系の検定にはない仕組みです。なお建設業振興基金は、1級・2級の合格者が継続学習を行う制度として登録建設業経理士制度(登録は5年ごと)も設けています。

「監査の受審状況」については、経審で評価される1級合格者が経理処理の適性を確認し、自ら署名した書類を提出することによる自主監査が2点として評価されます(会計監査人設置会社は20点、会計参与設置会社は10点)。

なお、経営事項審査での評価対象として建設業振興基金が挙げているのは1級と2級で、3級・4級(建設業経理事務士)は挙げられていません。

難易度と合格率

建設業振興基金が公表している直近回の結果は次のとおりです。1級・2級は第38回、3級・4級は同じ日に実施された第44回にあたります。

級・科目 受験者数 合格者数 合格率
1級 財務諸表 1,480人 445人 30.1%
1級 財務分析 1,279人 367人 28.7%
1級 原価計算 1,668人 376人 22.5%
2級 9,226人 4,386人 47.5%
3級 1,733人 1,157人 66.8%
4級 129人 90人 69.8%

いずれも令和8年3月8日実施分です。

受験者数がもっとも多いのは2級(9,226人)で、他の級を大きく引き離しています。1級は3科目を合わせても延べ4,427人、3級は1,733人、4級は129人でした。受験者の分布から見ると、この検定の中心は2級です。

級による合格率の開きは、QC検定のように25倍も違うタイプではありません。4級69.8%から1級原価計算22.5%まで、おおむね3倍程度の幅に収まっています。ただし1級は「科目ごとの合格率」であることに注意が必要です。3科目それぞれで2割から3割の関門を通る必要があるため、1級建設業経理士になるまでの実質的な難しさは、表の数字1つでは表せません。

過去5回の推移を見ると、2級は回によって32.2%から47.7%まで動いています。同じ級でも回によって15ポイント前後の幅があるため、1回分の合格率だけで難易度を判断しないほうが安全です。

1級は科目合格制で、有効期限が5年

1級は原価計算・財務諸表・財務分析の3科目に分かれており、科目ごとに受験・合格できます。

建設業振興基金は、科目合格について次のように定めています。

  • 各科目の合格は、合格通知書に記載する日から5年間有効です
  • 有効期限内に3科目すべてに合格すると「1級建設業経理士」となり、合格証明書が交付されます

1回の試験で3科目すべてを受ける必要はなく、複数年かけて積み上げられます。1級の複数科目を同じ日に受けることも可能で、受験料は1科目8,120円、2科目同時11,420円、3科目同時14,720円と、まとめて受けるほど1科目あたりの負担が下がります。

一方で、5年という有効期限があるため、途中で間隔が空くと先に合格した科目から期限切れになります。年2回の実施なので、5年間で最大10回の受験機会があります。

勉強時間の目安

建設業振興基金は標準的な学習時間を公表していません。

判断の材料になるのは、各級の「内容及び程度」として公表されている次の定義です。

内容 程度
1級 建設業原価計算、財務諸表及び財務分析 上級の建設業簿記、建設業原価計算及び会計学を修得し、会社法その他会計に関する法規を理解しており、建設業の財務諸表の作成及びそれに基づく経営分析が行えること
2級 建設業の簿記、原価計算及び会社会計 実践的な建設業簿記、基礎的な建設業原価計算を修得し、決算等に関する実務を行えること
3級 建設業の簿記、原価計算 基礎的な建設業簿記の原理及び記帳並びに初歩的な原価計算を理解しており、決算等に関する初歩的な実務を行えること
4級 簿記のしくみ 初歩的な建設業簿記を理解していること

4級は簿記そのものの入門、3級で建設業の簿記と原価計算、2級で決算実務、1級で財務諸表の作成と経営分析までという積み上げになっています。日商簿記などで複式簿記をひととおり学んでいる場合は、建設業特有の勘定科目や工事原価の扱いを上乗せする形になります。

受験資格と試験日程

受験資格の制限はなく、どなたでも希望の級・科目から受験できます。4級から順に受ける必要はありません。

ただし同日受験には制限があります。1級の科目と他の級を同じ日に受けることはできず、同日に受けられる組み合わせは次の3つだけです。

  • 1級の複数科目(科目の組み合わせは自由)
  • 2級と3級
  • 3級と4級

試験は年2回で、上期と下期で実施される級が違います

実施する級 試験日 申込受付期間 合格発表日
令和8年度 上期(第39回) 1級・2級 令和8年9月13日(日) 令和8年5月12日〜6月11日(終了) 令和8年11月13日(金)
令和8年度 下期(第40回・第45回) 1級〜4級 令和9年3月14日(日) 令和8年11月10日〜12月10日 令和9年5月14日(金)

3級・4級を受けられるのは下期だけの年1回です。3級・4級の受験を考えている場合は、下期の受付期間を逃すと次は1年後になります。

時間割は上期と下期で異なります。下期は1級財務諸表と4級が9時30分から、1級財務分析と3級が12時から、1級原価計算と2級が14時40分からの3時間帯に分かれます。

受験地は全国の主要都市ですが、4級の受験地は一部地域に限られます(令和7年度下期は全国51地区のうち24地区)。

電卓は計算機能(四則演算)のみのものに限られ、印字機能・音の出る機能・プログラム機能などが付いたものは使えません。そろばんも使用できます。

3級・4級には特別研修という取り方もある

3級・4級については、通常の検定試験とは別に建設業経理事務士 特別研修という制度が用意されています。講習と検定試験を組み合わせたもので、研修最終日の検定試験に合格すると3級または4級建設業経理事務士の資格が取得できます。

日数 受講料等(税込)
4級 2日間 23,100円
3級 3日間 34,650円
4級・3級 同時申込 公式に記載なし 57,750円

受講料にはテキスト代が含まれます。最終日の検定試験を受けられるのはすべての講義を受講した方のみです。

受講資格は、4級はどなたでも申し込めますが、3級は4級建設業経理事務士の有資格者が対象です。ただし4級を持っていない場合でも、4級・3級の同時申込みができます。

特別研修は年2回の検定試験とは別に実施されます。費用は通常の検定試験(3級5,820円・4級4,720円)より高くなりますが、講義を受けたうえでその場で試験を受ける形になります。開催日程は建設業振興基金のサイトで案内されるため、申し込む前に確認が必要です。

こんな人におすすめ

建設会社の経理・総務部門で働いている方、これから働こうとしている方が中心的な対象です。1級・2級の有資格者は経営事項審査の「公認会計士等の数」に数えられるため、公共工事の入札に参加する建設業者にとっては社内に置く意味がはっきりしている資格です。

日商簿記などで簿記を学んだ方が、建設業向けに知識を広げる場合にも適しています。工事原価の集計や工期をまたぐ会計処理は建設業特有で、一般的な商業簿記の学習範囲には含まれません。

簿記そのものが初めての方は、4級または3級から始める形になります。4級は「簿記のしくみ」を扱う入門的な内容で、特別研修なら2日間で受講から試験まで完了します。

一方、独立して事務所を構えることを目的とする場合は、この資格単体では向きません。建設業経理士に独占業務はなく、社内の経理担当者としての知識水準を示す資格です。税務や会計で独立を目指すのであれば、税理士や公認会計士が制度上の選択肢になります。