認知症ケア専門士の難易度・合格率・勉強時間
第1次試験は4分野に分かれ、合格した分野は5年間有効なので、足りない分野だけを受け直すことができます。
最終更新: 2026-08-14
認知症ケア専門士の基本情報
| 正式名称 | 認知症ケア専門士 |
|---|---|
| 分類 | 民間資格 |
| 実施団体 | 一般社団法人 日本認知症ケア学会 |
| 試験形式 | 第1次試験はWeb試験で4分野・各50問/合計200問の五者択一。第2次試験は認知症ケアの事例3題に対する論述試験です |
| 受験資格 | 試験実施年の3月31日から過去10年間に、認知症ケアに関する施設・団体・機関等で3年以上の実務経験がある方(第22回は2016年4月1日〜2026年3月31日)。ボランティア活動や実習は実務経験に含まれません |
| 試験日程 | 年1回。第22回の第1次試験(Web)は2026年7月12日、第2次試験は論述用紙を8月25日〜9月25日の申請期間中に提出します |
| 受験料 | 第1次試験は3,000円×受験分野数(4分野で12,000円)、第2次試験は8,000円。別途、願書となる受験の手引が1,000円、合格後の認定料が15,000円必要です |
| 合格率 | 第20回(2024年)45.7%(受験者2,585人・合格者1,182人) |
| 難易度 | ★★★☆☆ |
| 独立のしやすさ | ★☆☆☆☆(この資格単独での独立開業は一般的ではありません) |
| 勉強時間目安 | 公式の目安は公表されていません |
| 申込方法 | 年1回。第22回は第1次試験の申請が終了し、第2次試験の申請期間は2026年8月25日〜9月25日です |
| 公式サイト | 試験の公式ページを見る |
申込・試験日程
| 回次 | 申込受付期間 | 試験日 |
|---|---|---|
| 第22回(2026年度) 第2次試験 | 2026年8月25日(火) 〜 2026年9月25日(金)簡易書留での郵送申請で9月25日消印有効。第1次試験のすべての分野に合格した方などが対象で、作成した論述用紙を申請期間中に他の書類とあわせて提出します | 会場での試験はなく、論述問題への答案を申請期間中に提出します合格発表: 2027年1月12日(火)に結果通知を投函。同日13時から学会ホームページにも合格者の受験番号が掲載されます |
| 第22回(2026年度) 第1次試験 | 2026年3月10日(火) 〜 2026年4月10日(金)第22回の第1次試験の申請受付は終了しています(簡易書留で4月10日消印有効) | 2026年7月12日(日)9時30分〜15時15分(Web試験)合格発表: 2026年8月17日(月)に結果通知を投函(ホームページでの合格発表は行われません) |
日程は変更される場合があります。申し込みの際は必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
認知症ケア専門士とはどんな資格?
認知症ケア専門士は、一般社団法人日本認知症ケア学会が認定する民間資格です。学会は制度の目的を、認知症ケアに対する優れた学識と高度の技能、および倫理観を備えた専門技術士を養成し、わが国における認知症ケア技術の向上ならびに保健・福祉に貢献することだと定めています。認定試験の実施は、第4回日本認知症ケア学会総会(平成15年11月23日)で決定されました。
この資格には、押さえておきたい特徴が3つあります。
1つ目は、受験の時点で3年以上の実務経験が求められることです。学生や未経験の方が最初に取る資格ではなく、すでに現場に立っている方が知識を体系化するための資格という位置づけになっています。
2つ目は、試験が第1次と第2次の2段階に分かれていることです。第1次はWeb試験で知識を問い、第2次は事例に対する論述で、アセスメントの視点や介護計画を立てる力が審査されます。知識を覚えているかだけでなく、それを事例に当てはめて書けるかまでを見る構成です。
3つ目は、5年ごとの更新制であることです。学会は認定後も専門士に生涯学習に対する義務を課しており、資格を維持するには5年以内に30単位以上の専門士単位を取得して更新手続きを行う必要があります。取得して終わりではなく、学び続けることが前提の資格といえます。
なお、第2次試験の合格後は、研修動画の視聴を必須とする倫理研修を経て登録申請を行い、認定料を納めることで資格が交付されます。試験に合格した時点ではまだ手続きが残っている点にご注意ください。
難易度と合格率
学会が公表している認定試験合格状況によると、直近5回は次のとおりです。
| 回次 | 開催年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 第20回 | 2024年 | 2,585人 | 1,182人 | 45.7% |
| 第19回 | 2023年 | 2,799人 | 1,440人 | 51.4% |
| 第18回 | 2022年 | 3,666人 | 1,998人 | 54.5% |
| 第17回 | 2021年 | 3,063人 | 1,645人 | 53.7% |
| 第16回 | 2020年 | 2,550人 | 1,442人 | 56.5% |
おおむね45〜57%で推移しており、半分前後の方が合格する試験です。ただし直近の第20回は45.7%で、掲載されている5回のなかではもっとも低くなっています。
数字を読むうえで2点、注意していただきたいことがあります。
ひとつは、受験者が全員、3年以上の実務経験者だという点です。認知症ケアの現場を3年以上経験した方が受けて、それでもおよそ半数という水準になります。実務経験がない状態の合格率ではないため、他の資格の合格率と単純に並べて比べることはできません。
もうひとつは、この表が第1次と第2次のどちらの数字なのかを学会が示していないことです。掲載されているのは開催年・受験者数・合格者数・合格率の4項目のみで、段階別の内訳や区分の説明は同じページのどこにも書かれていません。当サイトでは公表されている数値をそのまま掲載しています。
合格基準は段階ごとに公表されています。第1次試験は4分野それぞれで70%以上の正答率が必要で、4分野すべてに合格してはじめて第1次試験の合格者になります。得点そのものは公開されず、結果通知で分野ごとの合否を確認する方式です。第2次試験は、適切なアセスメントの視点を有しているか、認知症を理解しているか、適切な介護計画を立てられるか、制度および社会資源を理解しているか、認知症の人の倫理的課題を理解しているかという5つの要件で審査されます。
勉強時間の目安
学会は学習時間の目安を公表していません。インターネット上には具体的な時間数が出回っていますが、公式の根拠がある数値ではないため、本記事では扱いません。
代わりに、計画を立てるうえで手がかりになる制度上の特徴を3つ挙げます。
出題範囲が公式テキストで確定していることが1つ目です。第1次試験は「認知症ケア標準テキスト」の第1巻から第4巻に準じた内容から出題されると学会が明示しています。学会が公式に制作・監修している教材は、認知症ケアの基礎、認知症ケアの実際Ⅰ(総論)、認知症ケアの実際Ⅱ(各論)、認知症ケアにおける社会資源、認知症ケア事例集の5冊のみで、これ以外の商品については内容の正確性を保証できないと注意喚起もされています。
2つ目は、分野ごとに区切って計画を立てられることです。第1次試験の各分野の合格は5年間有効で、不合格だった分野だけを次回以降に受け直せます。受験料も受験分野数に応じた計算になるため、1年で4分野すべてを狙う進め方と、複数年に分けて積み上げる進め方のどちらも選べます。
3つ目は、第2次試験の準備期間が試験日という形では区切られていないことです。第2次試験は会場に集まって解く形式ではなく、送られてきた事例に対する論述用紙を作成し、申請期間中に他の書類とあわせて提出します。第22回の場合、第1次試験の合格通知に論述問題が同封され、提出期限は9月25日の消印有効です。書く時間を自分で配分できる一方、締切は動きません。
受験資格と試験日程
受験資格は、認知症ケアに関する施設・団体・機関等において、試験実施年の3月31日から過去10年間に3年以上の認知症ケアの実務経験があることです。第22回(2026年度)であれば、2016年4月1日から2026年3月31日までの間に3年以上となります。
学会は確認事項として次の点を挙げています。
- 実務経験を証明する施設・団体・機関等は、認知症専門である必要はありません
- 職種や職務内容の制限はなく、認知症ケアに携わっていれば対象になります
- 介護福祉士や介護支援専門員などの資格の有無にかかわらず受験できます
- ただし有資格者であっても、認知症ケア実務経験証明書の提出は必要です
- ボランティア活動や実習は実務経験に含まれません
教育・研究・診療も実務経験に含まれるとされているため、現場の介護職に限られた資格ではありません。
実務経験が3年に届かない方には、別の入口が用意されています。認知症ケア准専門士は、試験実施年の3月31日に満18歳以上で、認知症ケアの実務経験が3年未満の方が対象です。この資格を取得すると、取得後5年以内であり、かつその年度の専門士の受験資格を満たしていれば、専門士試験の第1次試験が免除され、第2次試験から受験できます。実務経験を積む前に知識面を先に固めておきたい方向けのルートです。
第22回(2026年度)の日程は次のとおりです。
| 手続き | 日程 |
|---|---|
| 第1次試験の申請期間 | 2026年3月10日〜4月10日(消印有効・受付終了) |
| 第1次試験の受験票投函 | 2026年5月25日 |
| 事前動作確認の期間 | 2026年6月5日10時〜6月30日17時 |
| 第1次試験 | 2026年7月12日(日)9時30分〜15時15分 |
| 第1次試験の結果通知投函 | 2026年8月17日 |
| 第2次試験の申請期間 | 2026年8月25日〜9月25日(消印有効) |
| 第2次試験の結果通知投函 | 2027年1月12日 |
第1次試験はパソコンやタブレット等でインターネットに接続して受けるWeb試験です。試験日は4分野を1日で実施し、認知症ケアの基礎が9時30分から、認知症ケアの実際Ⅰ(総論)が10時45分から、認知症ケアの実際Ⅱ(各論)が13時から、認知症ケアにおける社会資源が14時15分からと、それぞれ60分ずつ割り当てられています。
受験の前に、事前動作確認の期間があります。受験票に記載されたWeb試験サイトのURLからログインし、当日使う端末で動作を確かめておく仕組みで、期間内であれば回数の制限はありません。学会は、通信環境や試験画面の見やすさの観点からパソコンの使用を推奨しています。機器やインターネット環境が原因で受験できなかった場合について学会は責任を負わないとしているため、この期間を使い切っておくことが実質的な必須手順といえます。
申請はいずれも郵送で、所定の封筒を使い簡易書留で提出します。第1次試験用はオレンジ色、第2次試験用はピンク色の封筒と定められており、封筒は「受験の手引」に同封されています。この受験の手引そのものが願書を兼ねており、1部1,000円で購入が必要です。書類作成や手引の購入が遅れたことを理由とする申請の遅延は認められないと明記されているため、締切から逆算して早めに取り寄せておくのが安全です。
費用は次のようになります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 受験の手引(願書) | 1,000円 |
| 第1次試験 | 3,000円×受験分野数(4分野で12,000円) |
| 第2次試験 | 8,000円 |
| 認定料(合格後) | 15,000円 |
| 更新料(5年ごと) | 10,000円 |
4分野をまとめて受けて一度で合格した場合、手引から認定料まで合わせて36,000円かかる計算です。さらに5年ごとに更新料10,000円と、30単位分の講座参加などの費用が必要になります。
なお学会は、受験料の改定と第2次試験を実地の論述試験へ変更する旨のお知らせを公開しています。一方で、第22回(2026年度)の第1次・第2次試験概要ページに掲載されている受験料と試験内容は、上表および本記事に記載のとおりです。次回以降の回次に変更が反映される可能性があるため、受験を予定している方は申請前に公式サイトと最新の受験の手引で必ずご確認ください。
こんな人におすすめ
- 介護・医療・福祉の現場で認知症ケアに3年以上携わり、経験を知識として整理し直したい方
- 事例に対して自分の考えを筋道立てて書く力を、資格という形で確かめたい方
- 現場のチームで認知症ケアの相談を受ける立場になりつつある方
- 5年ごとに学び直す前提を負担ではなく仕組みとして受け入れられる方
認知症ケア専門士は、受験資格の段階で3年以上の実務経験が求められる、キャリアの途中で目指す資格です。介護分野で先に国家資格を取るなら介護福祉士が代表的な選択肢で、そこからケアプラン作成のケアマネジャーへ進む道もあります。認知症ケア専門士はこれらと役割が重なるものではなく、認知症ケアという領域に絞って知識と事例対応力を証明する資格として、並行して検討できる位置づけです。実務経験が3年に届かない段階であれば、まず認知症ケア准専門士から始める選択肢もあります。
出典・参考情報
- 日本認知症ケア学会「認知症ケア専門士認定試験公式サイト」(2026-08-14 確認)
- 日本認知症ケア学会「試験概要:受験資格」(第22回)(2026-08-14 確認)
- 日本認知症ケア学会「第1次試験概要」(第22回)(2026-08-14 確認)
- 日本認知症ケア学会「第2次試験概要」(第22回)(2026-08-14 確認)
- 日本認知症ケア学会「制度の流れ」(2026-08-14 確認)
- 日本認知症ケア学会「規則・細則」(認定料・更新料)(2026-08-14 確認)
- 日本認知症ケア学会「認定試験合格状況」(2026-08-14 確認)
- 日本認知症ケア学会「認知症ケア准専門士 資格概要・試験概要」(2026-08-14 確認)
- 日本認知症ケア学会「受験料および第2次試験内容変更のお知らせ」(PDF)(2026-08-14 確認)
受験料・日程等は変更される場合があります。受験の際は必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。