通関士の難易度・合格率・勉強時間

通関業者は、通関業務を行う営業所ごとに通関士を置くことが通関業法で義務づけられています。

最終更新: 2026-08-06

通関士の基本情報

正式名称通関士
分類国家資格
実施団体財務省(試験事務は各税関が実施)
試験形式筆記(マークシート方式)。通関業法/関税法等/通関書類の作成要領その他通関手続の実務の3科目で、実務科目ではNACCSを使用して行う輸出申告・輸入申告の問題が各1問出題されます
受験資格学歴・年齢・経歴・国籍等の制限なし。どなたでも受験できます
試験日程年1回。第60回は令和8年10月4日(日)に全国13地域で実施(第59回は令和7年10月5日)
受験料3,000円(書面提出。収入印紙で納付)/NACCSを使用して提出する場合は2,900円(電子納付)
合格率第59回(令和7年)15.1%(受験者6,322人・合格者954人)。科目免除のない全科目受験者に限ると13.9%
難易度★★★★
独立のしやすさ★★☆☆☆
勉強時間目安財務省・税関とも標準的な学習時間は公表していません。3科目すべてで合格基準を満たす必要があり、配点の大きい実務科目に時間を確保する配分が必要です
申込方法年1回。第60回は令和8年7月21日〜8月4日。第60回から書面の出願受付は原則郵送のみ
公式サイト試験の公式ページを見る

申込・試験日程

回次申込受付期間試験日
第60回通関士試験(令和8年)2026年7月21日(火) 〜 2026年8月4日(火)書面提出は原則郵送のみで8月4日の消印有効。NACCSの場合は8月4日午後5時まで。令和8年熊本地震で災害救助法が適用された地域に在住の方は、提出期限が8月31日まで延長されています令和8年10月4日(日)合格発表: 令和8年11月10日(火)に税関ホームページへ掲載(予定)。官報掲載は11月20日(金)

日程は変更される場合があります。申し込みの際は必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

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通関士とはどんな資格?

通関士は、通関業法にもとづく国家資格です。輸出入する貨物は税関への申告と許可が必要で、その手続きを荷主に代わって行うのが通関業者です。通関業者は、通関業務を行う営業所ごとに通関士を置かなければならないと通関業法第13条で定められています。

さらに、通関業法第14条は、他人の依頼に応じて税関官署に提出する通関書類のうち政令で定めるものについて、通関士に内容を審査させ、記名させなければならないと定めています。書類の最終チェックが通関士でなければ成り立たない構造になっているため、通関業者には一定数の有資格者が必要になります。

もう一点、押さえておきたい仕組みがあります。試験に合格しただけでは「通関士」を名乗れません。通関業法第31条により、勤務先の通関業者が財務大臣に届け出て「確認」を受けてはじめて、通関士として通関業務に従事できます。資格の効力が、通関業者に所属することとセットになっているのがこの資格の特徴です。

難易度と合格率

第59回(令和7年)の結果は次のとおりです。

区分 願書提出者 受験者 合格者 合格率
全科目受験者 7,356人 5,584人 777人 13.9%
2科目受験者 663人 561人 58人 10.3%
1科目受験者 186人 177人 119人 67.2%
合計 8,205人 6,322人 954人 15.1%

公表される全体の合格率15.1%には、実務経験による科目免除を受けた人が含まれています。はじめて受験する方が実際に置かれるのは全科目受験の区分で、その合格率は13.9%でした。1科目だけを受験する区分の67.2%と比べると、同じ試験でも区分によって数字がまったく違うことが分かります。

過去5回の推移は次のとおりです。

回(年) 受験者数 合格者数 合格率
第55回(令和3年) 6,961人 1,097人 15.8%
第56回(令和4年) 6,336人 1,212人 19.1%
第57回(令和5年) 6,332人 1,534人 24.2%
第58回(令和6年) 6,135人 759人 12.4%
第59回(令和7年) 6,322人 954人 15.1%

受験者数はおおむね6,000人台で安定している一方、合格率は12%台から24%台まで年による幅が大きいという特徴があります。第1回から第59回までの通算では、受験者353,124人に対し合格者54,943人(15.6%)です。1年分の数字だけで難易度を判断しないほうが安全です。

試験科目と合格基準

試験は1日で3科目を受験します。第60回の時間割は次のとおりです。

科目 時間
通関業法 9:30〜10:20
関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法(第6章に係る部分) 11:00〜12:40
通関書類の作成要領その他通関手続の実務 13:50〜15:30

出題形式は全科目マークシートで、選択式・択一式・計算式が組み合わされます。第60回の配点は、通関業法が45点、関税法等が60点、実務が45点です。実務科目のうち「通関書類の作成要領」は、NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)を使用して行う輸出申告と輸入申告の問題が各1問出題され、この2問だけで20点を占めます。

合格には3科目すべてで合格基準を満たす必要があります。ここで注意したいのは、受験案内が「合格基準は合格発表の際に公表することとしており、事前には公表しておりません」と明記している点です。実績として第59回は3科目とも満点の60%以上でしたが、受験する時点では基準が示されていないという前提で臨むことになります。

出題範囲は、法律のほか関係政令・省令・告示・通達で、第60回は令和8年7月1日現在で施行されているものが対象です。法改正の反映が早い分野のため、年度に対応した教材を選ぶことが大切です。

勉強時間の目安

財務省・税関とも標準的な学習時間は公表していません。学習計画を立てるうえで手がかりになるのは、次の点です。

  • 3科目すべてで基準を満たす必要があるため、得意科目で不得意科目を補うことができません
  • 実務科目の申告書問題は2問で20点と配点が集中しており、関税額の計算や品目分類など手を動かす練習が要ります
  • 試験時間中に使える電卓は計算機能のみのものに限られ、関数電卓やプログラム機能付きは持ち込めません

条文の知識だけでなく、申告書を実際に作る手順に慣れておく必要がある試験です。学習の後半は過去問の申告書問題を繰り返す形になります。

受験資格と試験日程

学歴・年齢・経歴・国籍等の制限はありません。実務経験も不要で、どなたでも受験できます。

第60回(令和8年)の日程は次のとおりです。

項目 日程
受験申込受付 令和8年7月21日(火)〜8月4日(火)(受付終了)
試験日 令和8年10月4日(日)
合格発表 令和8年11月10日(火)に税関ホームページへ掲載(予定)
官報掲載 令和8年11月20日(金)(予定)

第60回から、書面での出願受付は原則郵送のみになりました。郵送は8月4日までの消印有効ですが、受験案内は7月31日頃までの発送を呼びかけています。NACCSを使用する場合は8月4日午後5時までに受験手数料の電子納付が必要で、受験票は別途書面で提出します。

なお、令和8年熊本地震で災害救助法が適用された地域(熊本県10市10町1村)に在住の方については、受験願書の提出期限が8月31日(月)まで延長されています。試験日と試験会場に変更はありません。

試験は全国同時に行われ、どの受験地でも受けられます。第60回の試験実施地は北海道・宮城・新潟・東京・神奈川・静岡・愛知・大阪・兵庫・広島・福岡・熊本・沖縄の13地域で、受験願書は受験地を管轄する税関に提出します。

科目免除の要件

実務経験に応じて、科目の一部が免除されます。

  • 通関業者の通関業務、または官庁における関税その他通関に関する事務に従事した期間が通算15年以上 … 関税法等と実務の2科目が免除
  • 通関業者の通関業務、または官庁における通関事務に従事した期間が通算5年以上 … 実務の1科目が免除

対象になるのは判断を伴う業務で、パソコンへの入力事務や使送事務のような機械的事務は期間に含まれません。免除を受けるには、勤務先の通関業者などが証明した「証明書」を添えて申請書を受験願書と一括で提出します。申請期間は受験願書の受付期間と同じです。

先ほどの合格率の表で1科目受験者の合格率が67.2%と高いのは、この免除を受けた実務経験者が受験している区分だからです。すでに通関業務に就いている方は、免除の対象になるか勤務先に確認する価値があります

独立して働くなら

通関士という資格そのものは、独立開業に直結するタイプではありません。通関業法上、通関士は「通関業者の通関業務に従事する者」と定義されているため、通関士として働くには通関業者に所属している必要があります

自分で事業を営む場合は、通関業の許可を財務大臣から受けて通関業者になる、という形になります。許可制のため、経営の基礎や人的構成などの審査を通る必要があり、資格を取ればすぐ開業できる士業とは前提が異なります。実際には、通関業者や物流会社で実務経験を積んでから独立を検討する流れが現実的です。

集客について: 通関業務の依頼元は輸出入を行う企業で、一般消費者ではありません。取引の性質上、既存の取引関係や物流事業者とのつながりが仕事の入口になります。特定の品目(食品・医薬品・化学品など許可や検査が絡むもの)や特定の相手国に強い、といった専門性が差別化の軸になりやすい領域です。

こんな人におすすめ

  • 商社・メーカー・物流会社で輸出入に関わる仕事をしたい方、すでに関わっている方
  • 受験資格の制限がない国家資格で、業務独占の裏づけがあるものを探している方
  • 法令の知識と、申告書作成のような実務的な処理の両方に取り組める方

官公署への申請書類を扱う仕事という点では行政書士が隣接します。営業所ごとの選任義務という同じ構造を持つ資格としては旅行業務取扱管理者があり、貿易事務で扱う数字の基礎を固めるなら日商簿記との組み合わせも選択肢です。

出典・参考情報

受験料・日程等は変更される場合があります。受験の際は必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

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