民間資格医療・福祉

臨床心理士の難易度・合格率・勉強時間

5年ごとの資格更新が義務づけられており、研修などで15ポイント以上を取得しないと資格を維持できない仕組みです。

最終更新: 2026-09-23

臨床心理士の基本情報

正式名称臨床心理士
分類民間資格
実施団体公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会
試験形式一次試験と二次試験の2段階。一次は1日で、マークシートの多肢選択方式100題(2時間30分)と、1,001字以上1,200字以内で論述する論文記述試験(1時間30分)を実施します。二次は面接委員2名による口述面接で、受けられるのは一次の多肢選択方式の成績が一定の水準に達した方だけです
受験資格協会が定める7種の基準のいずれかに該当することが必要で、指定大学院または専門職大学院の修了が基本モデルです。第1種指定大学院は新1種指定校なら修了後の心理臨床経験は不要で、旧1種指定校は1年以上、第2種指定大学院は新2種が1年以上・旧2種が2年以上の心理臨床経験が要ります。医師免許取得者は取得後2年以上の心理臨床経験で受験できます
試験日程年1回。協会は一次試験(筆記)と二次試験(口述面接)を例年10月から12月にかけて東京で実施しています。令和8年度は一次が10月10日、二次が11月21日から23日です
受験料受験に必要な申請書類が1部1,500円(コンビニ決済の場合は事務手数料230円が加算)。審査料の金額は、2026年9月23日に確認した範囲では協会サイトに掲載がなく、取り寄せる申請書類で確認します。資格取得後は5年ごとの更新があり、更新審査料は令和7年度の案内で20,000円でした
合格率令和7年度66.7%(受験者1,809人・合格者1,206人)。直近5年は64.8%から66.7%の間で推移しています
難易度★★★★
独立のしやすさ★★★☆☆
勉強時間目安協会は学習時間の目安を公表していません。一次試験の多肢選択方式は心理学の基礎と、臨床心理査定・臨床心理面接・臨床心理的地域援助・それらの研究調査という4種の専門業務、および倫理・法律の基礎知識から出題されます
申込方法年1回。令和8年度は申請書類の請求が6月23日〜8月7日、受験申込の受付が6月24日〜8月31日(当日消印有効)でした
公式サイト試験の公式ページを見る

申込・試験日程

回次申込受付期間試験日
令和8年度 資格審査2026年6月24日(水) 〜 2026年8月31日(月)受験申込は8月31日の当日消印有効です。申込に使う申請書類は協会に請求して入手する必要があり、その請求期間は6月23日から8月7日までと、申込締切より先に閉じます一次試験(筆記)令和8年10月10日(土)東京ビッグサイト(東京都江東区有明)/二次試験(口述面接)令和8年11月21日(土)・22日(日)・23日(月祝)東京国際フォーラム(東京都千代田区丸の内)合格発表: 令和8年12月下旬予定

日程は変更される場合があります。申し込みの際は必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

他の資格の申込締切もまとめて確認する →

臨床心理士とはどんな資格?

臨床心理士は、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が実施する資格審査に合格し、認定を受けることで取得できる資格です。協会は臨床心理士を、臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて人の心の問題にアプローチする専門家と説明しています。

協会が「臨床心理士資格審査規程」第11条で定める専門業務は次の4種です。

専門業務 内容
臨床心理査定 心理テストや観察面接を通じて、その人の特徴や問題点の所在を明らかにする
臨床心理面接 精神分析、遊戯療法、行動療法、家族療法、認知療法など多様な技法でクライエントの心を支援する
臨床心理的地域援助 地域住民や学校・職場といったコミュニティに対して、心の健康の支援やコンサルテーションを行う
上記に関する調査・研究 事例研究をはじめとする調査・研究で、技法や知識を確実なものにする

協会は昭和63(1988)年に16の心理学関係学会の協賛を得て発足し、平成25(2013)年4月1日に内閣府認可の公益財団法人へ移行しました。同じ昭和63年12月に第1号の臨床心理士が誕生してから、令和7年度までの累計合格者は44,289名です。このうち逝去などを除いた登録者は、2026年4月1日現在で国内39,326名・海外104名の計39,430名となっています。

難易度と合格率

令和7年度の合格率は66.7%(受験者1,809人・合格者1,206人)でした。協会は昭和63年度からの全年度を一覧で公表しており、直近の推移は次のとおりです。

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和3年度 1,804人 1,179人 65.4%
令和4年度 1,810人 1,173人 64.8%
令和5年度 1,705人 1,134人 66.5%
令和6年度 1,816人 1,200人 66.1%
令和7年度 1,809人 1,206人 66.7%

合格率だけを見ると6割台半ばで安定していますが、この数字は受験資格をすでに満たした方の中での割合です。受験するには原則として指定大学院か専門職大学院を修了している必要があり、そこに至るまでの過程を含めて考える必要があります。受験者数は平成17年度の2,905人が最多で、近年は1,700人台から1,800人台で推移しています。

なお、協会の一覧では合格者数の横に医師免許取得者の人数が括弧書きで示されており、令和7年度は1,206人のうち13人でした。

勉強時間の目安

協会は学習時間の目安を公表していません。公表されているのは出題の範囲と形式です。

一次試験の多肢選択方式は、心理学の基礎的な設問に加えて、上で挙げた4種の専門業務に関する基礎的・基本的な専門知識、さらに倫理・法律の基礎知識や基本的な姿勢・態度にかかわる設問から出題されます。協会は、専門知識の単なる暗記力よりも、臨床実践において生きた総合的な知識が身についているかが問われるとし、実習などの臨床実践体験に照らしながら学ぶよう助言しています。

論文記述試験は、心理臨床に関する1題のテーマについて1,001字以上1,200字以内で論述するもので、協会は字数制限内で簡潔かつ論理的にまとめることの大切さを挙げています。

受験資格と試験日程

受験資格の基準は7種あり、指定大学院または専門職大学院の修了が基本モデルです。

区分 修了後に必要な心理臨床経験
第1種指定大学院(新1種指定校) 不要(所定条件の充足が必要)
第1種指定大学院(旧1種指定校) 1年以上
第2種指定大学院(新2種指定校) 1年以上
第2種指定大学院(旧2種指定校) 2年以上
専門職大学院 不要
諸外国で同等以上の教育歴 日本国内で2年以上
医師免許取得者 免許取得後2年以上

ここでいう心理臨床経験は、教育相談機関・医療施設・心理相談機関などで心理相談員やカウンセラーとして勤務した経験を基準とし、有給が原則でボランティアや研修員は認められません。2026年4月1日現在で、協会が認可する指定大学院は144校(うち第2種が7校)、協会が認証評価を行う専門職大学院は4校です。

令和8年度の資格審査の日程は次のとおりです。

手続き・試験 日程・場所
申請書類の請求 令和8年6月23日〜8月7日
受験申込の受付 令和8年6月24日〜8月31日(当日消印有効)
一次試験(筆記) 令和8年10月10日(土)東京ビッグサイト
二次試験(口述面接) 令和8年11月21日(土)・22日(日)・23日(月祝)東京国際フォーラム
合格発表 令和8年12月下旬予定

申請書類の請求期間が、受験申込の締切より24日早く閉じる点に注意が必要です。申込書類は協会から取り寄せる必要があるため、8月31日の締切だけを見ていると申し込めません。請求はコンビニエンスストア決済に対応した専用サイトから行い、入金確認後7営業日以内に発送されます。

二次試験を受けられるのは、一次試験の多肢選択方式の成績が一定の水準に達した方だけです。協会は、二次試験の受験資格通知が論文記述試験の成績を含むものではないと明記しています。最終的な合格は、多肢選択方式・論文記述・口述面接の3種類の結果を総合的に判定して決まります。また、合格後に資格認定証書の交付手続きを所定期日までに完了してはじめて臨床心理士として認定されます。

費用と5年ごとの更新

協会が公表している金額は次のとおりです。

費目 金額
申請書類 1部1,500円(コンビニ決済は事務手数料230円が加算)
資格審査料 金額の掲載なし
更新審査料(5年ごと) 20,000円(令和7年度の案内。令和8年度の対象者向け案内には金額の記載がありません)
資格登録証明書の再発行 2,000円

当サイトが2026年9月23日に協会サイトを横断的に機械検索した範囲では、資格審査料(受験料)の金額は掲載されていませんでした。協会は、申請書類の提出と審査料の納付が完了した申請者に対して、受験資格の有無を確認したうえで受験票を送付すると説明しており、金額は取り寄せる申請書類で確認する形になります。

臨床心理士には5年ごとの資格更新が義務づけられています。資格の発効日から満5年を経過するごとに手続きがあり、次の6項目の教育研修機会のうち①②のいずれかを含む3項目以上に参加または発表して、5年以内に計15ポイント以上を取得することが要件です。

項目 内容 ポイントの例
協会が主催する研修会等(臨床心理士研修会、心の健康会議など) 臨床心理士研修会の受講者2ポイント、講師・発表者4ポイント
日本臨床心理士会、または地区・都道府県単位の臨床心理士会が主催する研修会等 ワークショップ型研修会の受講者2ポイント
協会が認める関連学会での諸活動 年次大会の口頭発表4ポイント、研究誌への原著10ポイント
協会が認める臨床心理学に関する研修会への参加 年6回以上開催される定例型研修会への1年間の継続参加4ポイント
協会が認めるスーパーヴァイジー経験 開始時と終了時に報告書を提出して3ポイント
協会が認める臨床心理学関係の著書の出版 原著に準ずるもの12ポイント、その他10ポイント

論文や著書を共著で出した場合は、著者数で割ったポイントを各自が取得します。令和7年度は更新対象者7,471名に関係資料が送付されました。更新審査を終えると、有効期間が5年間の新しい資格登録証明書(IDカード)が交付されます。

公認心理師との違い

心理職の資格としてよく並べて語られる公認心理師は、公認心理師法にもとづく国家資格です。文部科学大臣および厚生労働大臣の指定を受けた公認心理師試験研修センターが、両大臣に代わって試験と登録の事務を行っています。

一方の臨床心理士は、公益財団法人である日本臨床心理士資格認定協会が試験と認定を行う資格です。協会は公認心理師法の施行にあたり、平成29(2017)年8月1日付で「基本認識・基本方針」と大学院教育における臨床心理士科目・単位の考え方を、全国の養成大学院・都道府県臨床心理士会・有資格者に向けて示しています。

両者は根拠も実施主体も異なる別の資格です。受験資格・試験日程・費用がそれぞれ違うため、どちらを目指す場合も、それぞれの実施団体の案内で条件を確認してください。

独立して働くなら

協会は職域として、教育(学校内の相談室・教育センター)、医療・保健(精神科や心療内科の病院・診療所、保健所、精神保健福祉センター)、福祉(児童相談所・療育施設)、司法・矯正(家庭裁判所・少年鑑別所・保護観察所)、労働・産業(企業内相談室・ハローワーク・障害者職業センター)の5分野を挙げています。

そのうえで協会は、クライエントから相談料を直接得て職業的自立をはかる「私設心理相談所」を開設する開業臨床心理士が増加傾向にあるとしています。ただし協会は、開業の要件や収入について具体的な基準を示してはいません。

なお協会は、日本には心理カウンセラーやサイコセラピストなどの名称で呼ばれる人々がいる一方で、それぞれに明確な資格があるわけではないと説明したうえで、臨床心理士を審査と認定を経た「心理専門職の証」と位置づけています。

こんな人におすすめ

  • 大学院まで進んで心理臨床を専門的に学ぶ計画がある方
  • 学校・医療機関・児童相談所・家庭裁判所など、心理職の配置がある現場で働きたい方
  • 資格取得後も研修を継続し、5年ごとの更新を続けていける方
  • 将来的に私設心理相談所の開設を視野に入れている方

一方、受験には指定大学院か専門職大学院の修了が原則として必要です。社会人が働きながら短期間で取得できる資格ではないため、大学院進学を含めた計画から検討することになります。心理分野の国家資格を目指す場合は公認心理師、福祉領域での相談援助を中心に考える場合は精神保健福祉士もあわせて確認してみてください。

出典・参考情報

受験料・日程等は変更される場合があります。受験の際は必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。